共同実験は2016年3月31日まで羽田空港国際線・国内線旅客ターミナルにて実施する

東京国際空港ターミナル(TIAT)、日本空港ビルデング(JAT)、日本電信電話(NTT)、パナソニックは12月3日より、世界初の情報ユニバーサルデザイン高度化の共同実験を国際線旅客ターミナルで開始した。

同実験は、2020年に向けて訪日外国人の増加や少子高齢化のさらなる進展が想定される中、最先端情報技術の活用により安心・便利にサポートしていくことを目指したもの。訪日外国人や車いす・ベビーカー使用者にとっても便利なユニバーサルデザイン、そして、「音」「光」「画像」「無線」等による最先端情報技術を活用したデザインとなっている。

「情報ユニバーサルデザイン高度化」の共同実験は12月3日~2016年3月31日にかけて、羽田空港国際線・国内線旅客ターミナルにて実施。実験内容として、NTTは画像解析技術を用いたかざすUIによる情報提供、ビッグデータ解析技術を用いた動的サインによる人流誘導、音声処理技術による音サインの明瞭化を行う。パナソニックは、光ID技術を使用した商業エリアなどの空港施設の認知検証、Bluetoothビーコンを使用した施設案内誘導検証を実施する。

NTTが実施する画像解析技術を用いたかざすUIによる情報提供

NTTのUIによる情報提供の実験では、直感的な動作だけで有益な情報を容易に取得できる技術の確立を目指し、NTTが開発した「アングルフリー物体検索技術」を利用。到着ロビーの看板・案内板や商業エリアの店舗建物や料理サンプル・商品に、スマートフォンのカメラを向けるだけで適切かつ有用な情報を得られるというUXの有用性を評価するとともに、実フィールドでの画像認識精度向上とサービス化に向けた課題の抽出に取り組んでいく。

NTTが実施するビッグデータ解析技術を用いた動的サインによる人流誘導

NTTのビッグデータ解析技術を用いた動的サインによる人流誘導実験では、変化する混雑状況を先読みし、動的に案内サインを変化させることによって施設内での混雑を回避し、最適な人の流れ(人流)の誘導の実現を目指す。到着ロビーや出国口等の人の滞留が発生しやすいカ所において動的な案内サインを提供することで、最適な表現(表記、色彩、タイミングなど)についての知見獲得を図るほか、従来は音声アナウンスで対応しているシーン(緊急案内など)に示す情報を視覚化することで、聴覚障がい者などへの情報提示手法としての有効性についても確認していく。

NTTが実施する音声処理技術による音サインの明瞭化

NTTの音声処理技術による音サインの明瞭化実験では、周囲に雑音があっても聞き取りやすい音声で案内を行うとともに、音サインの音声自体が周囲に対しての騒音とならないよう環境に配慮された「インテリジェント音サイン」を使用。空港内の音サインを対象に視覚障がい者への被験者実験を行い、実際の被験者の体感ヒアリングや行動測定により、実用化に向けた課題を明確化していく。

パナソニックが実施する光ID技術を使用した商業エリアなどの空港施設の認知検証

パナソニックの光ID技術を使用した実験では、空港施設内に光ID対応の案内看板を設置し、看板付近を通過する障がい者や外国人などの空港利用者に対して光ID看板にスマートフォンをかざすことにより多言語での店舗情報を取得し、商業エリアの認知の効果が得られることを被験者実験により検証する。

パナソニックが実施するBluetoothビーコンを使用した施設案内誘導検証

パナソニックのBluetoothビーコンを使用した実験では、羽田空港内の商業エリアに指向性ビーコンを設置し、バリアフリーナビゲーションアプリを使用して目的地までの誘導がスムーズに行えるかを検証する。また、利用者の動線情報を分析することで、今後、障がい者や外国人などをターゲットにした業務改善用途やマーケティング用途などで指向性ビーコンを活用していくための技術的な課題を明確にしていく。

TIAT、JAT、NTT、パナソニックの4社は、11月26日に設立された「空港における情報 UD 検討委員会」に参画し、情報ユニバーサルデザイン高度化を推進。4社は空港旅客ターミナルが求められていることと、その解決・実現に向けた最先端技術を持ち寄り、羽田空港国際線・国内線旅客ターミナルにおいて実証実験を行うことによって、技術の有効性の検証と導入に向けた課題の明確化をしていくという。