防衛医科大学校、KDDI、Synamonは8月29日、第5世代移動通信システム「5G」とVRシステムを活用した災害医療対応支援の実証実験を、8月27日に日本国内で初めて実施したことを発表した。あわせて、医療教育現場においてVRシステムを活用した遠隔教育に関する実証実験を行ったことも発表した。

  • 災害医療対応支援に関する実証実験概要

    災害医療対応支援に関する実証実験概要

災害医療対応支援に関する実証実験では、5Gの高速・大容量の特長を活用し、災害現場に高精細の360度カメラを設置。5Gを通じて映像をVR空間上に配信、投影し、VR空間内で医療従事者や消防機関が連携して現場を指揮・支援するシステムを構築したという。

通常の平面映像では被災状況など災害の全体像がつかみづらいという課題があったが、今回、360度カメラを活用しVR空間上で現場にいる職員と遠隔地にいる医療従事者などの専門家が双方向に連携することで、遠隔地からでも現場にいる職員に対して指示を出すことが可能となり、救命活動を円滑に進められることを確認したという。

  • リアルタイム遠隔医療教育に関する実証実験概要

    リアルタイム遠隔医療教育に関する実証実験概要

また、爆傷に対する治療技術を研究している防衛医大においては、同研究のための設備である「ブラストチューブ」に関して、5GとVRを組み合わせ、VR空間上での設備見学やディスカッションなどの双方向コミュニケーションに関する実証実験を実施した。

具体的には、同設備の設置場所に高精細の360度カメラを配置し、その映像を5Gを通じてVR空間に配信、投影し、VR空間を遠隔地にいる複数の参加者が共有することで、集合が難しい場所でのバーチャル会議や高精細映像による遠隔からの設備視察などの有効性について確認できたということだ。

各者の役割は、防衛医科大が実験場所の提供と効果検証、KDDIは5Gエリアの設計・構築、SynamonがVRコラボレーションシステム「NEUTRANZ BIZ」の提供——となっている。