楽天モバイルが、いよいよNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクに次ぐ『第4のキャリア』として通信事業をスタートさせます。

楽天モバイルは3日、携帯キャリア事業に関する記者発表会を実施しました。これまで様々な憶測が飛び交ってきた料金プランですが、月額2,980円(税抜き、以下同)でデータ使い放題となる「Rakuten UN-LIMIT」(アンリミット)を提供すると正式発表。サービス開始日については4月8日としています。

  • 楽天モバイルが記者発表会を開催。なお、新型コロナウイルス感染拡大の状況を配慮し、発表の2日前になり急遽、「ライブ配信のみ」に変更となりました

月額2,980円で無制限、300万人は1年間タダ

発表当日まで、Twitter公式アカウントなどを通じて「3月3日に重大発表」「これまでの常識をくつがえす」といった文言で、ユーザーの期待を煽っていた楽天モバイル。冒頭、楽天の三木谷浩史氏は「楽天グループと楽天モバイルは、ネットワークを民主化するというテーマに向かって、社員一丸となって取り組みを進めてきました。それを発表できる日が、ついにやって来ました」と言葉に力を込めます。

  • 楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

Rakuten UN-LIMITは、楽天モバイルのネットワークエリア内のデータ通信、およびコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を利用した国内通話が無制限で利用できるという内容です。月額2,980円ですが、300万人を対象に1年間、利用料が無料となるキャンペーンも実施します(1人1回線まで)。

地方都市など、楽天モバイルのネットワークエリア外ではKDDIのローミングにつながる仕様で、その場合のデータ通信は2GBまで。それを超えると下り最大128kbpsまで速度が落ちますが、500円/GBでデータ容量の追加購入が可能です。

  • 新料金プラン、Rakuten UN-LIMIT

Rakuten Linkは、電話、メッセージ、SMSが利用できるオリジナルアプリで、海外から国内への通話が無料になります。国内/海外から海外への通話は月額980円で利用可能。SMSは国内外を問わずに使い放題となっています。

  • 電話、メッセージ、SMSが利用できるオリジナルアプリ「Rakuten Link」

「やめとけ」「無理だ」と言われた完全仮想化

サービスの肝となったのが、世界初をうたう、完全仮想化モバイルネットワーク。ついに今回、正式サービスとしてモバイルネットワークのフル仮想化を実現します。

これについて、三木谷社長は「従来なら携帯電話のネットワークを構築するために、600くらいのハードウェア機器を接続する必要がありました。それをクラウドで置き換えていきます。これはネットワークに革命が起きることを意味しています」と説明します。

これまで、業界の様々な人物から「やめとけ」「それは無理だ」と言われ続けたそう。「完全仮想化が実現できたのも、世界中から集った技術者たち、そして多くのパートナー企業のおかげ。お礼を申し上げたい。楽天のネットワークが世界に広がっていく様子が見えています」と、晴れやかな表情で説明しました。

  • 世界中から集った技術者たちにより、完全仮想化モバイルネットワークが実現できたと強調

エリア・基地局の状況はどう?

気になるのは、楽天モバイルのネットワークがどこまでエリア拡大しているのか。これについては、総務省に提出した計画を前倒しで進めていると説明します。具体的には、2020年3月には4,400局を上回り、2021年3月には全都道府県に8,600局を建設できる、との見通しが語られました。

  • 楽天基地局の開設計画

  • 2021年3月には全国にエリア拡大できるとしています

ちなみに、Rakuten UN-LIMITは4Gネットワークのための料金プランです。楽天モバイルでは6月から5G回線によるサービスを開始しますが、5Gの料金プランは現時点で未定。ただ、上記の完全仮想化モバイルネットワークにより、インフラとしては4Gから5Gへの切り替えがスムーズに行えるとのことでした。

  • Rakuten UN-LIMITは3日の16時より先行申し込みを開始しています

つながりにくい場所では衛星通信も視野に

このほかプレゼンでは、米AST&Science社との提携についても紹介。衛星通信ネットワークを利用することで、地球上のどこにいても携帯電話のサービスが利用できるようにしていく方針です。ASTサービスの商用化の時期については未定で、現在は建設段階とのこと。向こう数年のうち、国内100%のエリアをカバーできるようにすると説明しています。

  • 米AST&Science社と提携。宇宙から送信するモバイルブローバンドネットワークにより、提供エリアを拡大。将来は、飛行機の中でもつながるサービスにしていくとしています