7月31日よりロードショー公開される東映映画『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!! の巻』(脚本:浦沢義雄、監督:石田秀範)の詳細情報が明らかとなった。先日、第1弾キャストやストーリー概略が発表されるや、WEB上では「恋する"汁なしタンタンメン"とは?」とミステリアスにもほどがあるサブタイトルについて話題が沸騰。往年の『ロボコン』ファンをどよめかせた。

今回の映画の"原点"というべき東映製作のテレビドラマ『がんばれ!!ロボコン』は、1974(昭和49)年10月から1977(昭和52)年3月まで、約2年半にわたってNET(現:テレビ朝日)系で放送された。原作者・石ノ森章太郎氏が生み出したロボコンおよび「ロボット学校」の生徒たちのユーモラスなキャラクター性や「ロボットがおりなす人情喜劇」というべき物語の面白さなど、さまざまな魅力によって子どもを中心としたファミリー層から高い人気を得た作品である。

『がんばれ!!ロボコン』の大ヒットを受けるかたちで、東映は石ノ森氏とタッグを組んで、ロボットをはじめとするコミカルで不思議なキャラクターが人間社会で大騒動を巻き起こす「ホームコメディー」作品を積極的に打ち出していった。ここからはそんな『がんばれ!!ロボコン』の"後継者"たちをご紹介していきながら、新作映画『がんばれいわ!!ロボコン』に至るまでの流れをかんたんに説明しよう。

  • 日本コロムビア「テレビまんがアクション(うたとアクションサウンド)シリーズ/がんばれ!!ロボコン&てんとう虫の歌」レコードジャケット(著者私物)

『がんばれ!!ロボコン』とは、人間に"奉仕"する使命を帯びた「ロボット学校」のロボット・ロボコンが、居候先の大山家でいろいろな騒動を巻き起こすキャラクターコメディードラマである。

ロボット学校には秀才のロボガリ、腕力自慢の乱暴者・ロボワル、職人気質の大工ロボトン、防犯用に作られたが手クセの悪いロボドロ、ビックリすると体がバラバラになるロボパーといった個性的なロボットがおり、それぞれ人間社会で何らかの奉仕を行っている。しかし、その名前のとおり「根性」だけはあるものの、ドジでそそっかしいロボコンは行く先々で大胆な失敗を重ねることが多い。力の入れ加減を間違えたり、大嫌いなゴキブリを目撃してパニックに陥ったりしたとき、とほうもない馬鹿力で周囲をめちゃめちゃに壊してしまうことも少なくなかった。

毎回のエピソードの最後は、ロボットたちの働きぶりを「ガンツ先生」が採点するシーンが必ずついている。優秀なロボットには「100点」のしるし=ハートマークが与えられるが、大きな失敗をやらかした日のロボコンは「0点」となり、ガンツ先生から叱られることになる。エピソードによっては100点に値するすばらしい行いをすることもあったのだが、同時に別なところで人に迷惑をかけ、差し引きされていつも0点になってしまうのである。

ガンツ先生からお説教を受けたり、大山家のパパやママから叱責されたりして落ち込むロボコンだが、大山家の末っ子で大親友のまこと(なぜかロボコンは"まここ"と呼ぶ)や、東北なまりのキツい善良なおまわりさん・町田巡査、そしてロボット学校の生徒がみな憧れるバレリーナのロビンちゃんたちに励まされ、失敗を乗り越えて前向きに頑張ろうとする。シナリオを手がけた上原正三氏(メインライター)や藤川桂介氏は、ロボコンがしでかす派手な失敗描写で視聴者の笑いを誘う一方で、困っている人のために全力を尽くし、困難を何とかして乗り越えようと"ロボ根性"でひたすら頑張るロボコンの姿を描き、"浪花節"的ヒューマニズムに満ちた傑作エピソードを連発。子どもたちに"ロボコンみたいな友だちが本当にいればいいな"と思わせるような親しみを与えた。

  • 東映ビデオ『がんばれ!!ロボコン』DVD VOL.1ジャケット(著者私物)第1話~第25話収録

山本圭子(ロボコン)、野田圭一(ガンツ先生)をはじめとする豪華声優陣が生命を与えたユニークなロボット学校の仲間たち、テレビを観ているファミリーたちの代表というべき平均的サラリーマン家庭の大山家(パパの大野しげひさは『走れ!ケー100』の紋太役やシャチハタネームCMなどで有名だった。ママの加藤みどりは『サザエさん』のフグ田サザエの声や『魔法使いサリー』のよしこちゃんの声でも人気。長男はじめ役・山田芳一、長女みどり役・佐久間真由美はそれぞれテレビドラマ出演経験の豊富な名子役。次男まこと役・福田信義は本作の後『5年3組魔法組』や『それゆけ!レッドビッキーズ』など多くの作品で活躍する)。そして日本を代表するベテラン喜劇俳優・由利徹が人情味たっぷりに演じた町田巡査と、魅力あふれるキャラクターそれぞれの動きがドラマを盛り上げ、作品の人気は右肩上がりに高まっていった。ロボコンが落胆したときに漏らす「ウララ~」に代表される"ロボコン語"、そしてガンツ先生が独特の調子で発する「ロ~ボコン、0点」などは、番組を象徴する名フレーズとして多くの人々から親しまれた。

放送から約半年が過ぎた第26話からは、ロボット学校の「第2期生」という設定で新しいロボットたちが大挙レギュラー入り。ロボペチャ、ロボクイ、ロボピョン、ロボプー、ロボショー、ロボガキ、ロボゲラ、ロボメカといったユニークな仲間がロボコンと絡み、ストーリーを盛り上げた。

  • 東映ビデオ『がんばれ!!ロボコン』DVD VOL.2ジャケット(著者私物)第26話~第49話収録