富士通クライアントコンピューティングが電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」の量販店販売を8月1日から開始する。

また、これまでWindows PC用だけに提供されていたコンパニオンアプリについても、スマホアプリ(Android、iOS)とmacOSアプリを追加した。この大幅バージョンアップによって、従来より、大幅に使い勝手が高まるという。さらに価格も改定され、より購入しやすくなる。

  • まさに電子の紙。PDFの表示とペンによる書き込みに特化したデバイスだ

中高年の男性が買う、デジタル時代の紙とペン

QUADERNOは電子ペーパースクリーンのタブレットデバイスで、A5サイズとA4サイズのものがラインアップされている。ペンを使ってPDFに書き込みができるほか、自由なメモを書いてPDFとして保存できる。同社としてはアナログらしさとデジタルの便利さを併せ持つデバイスであることを強調し、新しい働き方には新しいデバイスを使ってほしいとアピールする。

発売以降の購入層は8割が男性、そして30~50歳代が8割を占める。20代はたった7%にすぎないという同社調査の結果を見ると、デジタルネイティブな世代には響かないデバイスなのかもしれないし、それ以前に、今の世の中が高齢化にシフトしていると考えることもできる。

今回のバージョンアップによって、本体をWiFiアクセスポイントとして機能させられるようになり、スマホやPCとケーブルを介さずに直接ファイルをやりとりできるようになった。

理想的にはクラウドを介してファイルをやりとりできて、さらには同時に読み書きできればなあとも思うが、少なくとも今までよりはずっと便利になる。なにしろ、出先でもスマホさえあれば、メールなどで受け取ったPDFをQUADERNOに転送し、手書きのメモを書き加えて、メール添付で返信したりといったことができるようになったからだ。

やることは今までの手書きメモと同じ

個人的には、昭和のはじめにDynabook J3100 SSをノートパソコンとして持ち歩くようになって、それとほぼ同時にそれまで使っていたシステム手帳を捨てた。今は、ペン入力がトレンドになっているが、あのとき捨てたペンと紙を、なぜまた今、手にするのかという疑問もある。

まわりで、タブレットなどを使ってペンでの手書きメモをとっている人たちに聞くと、手書きのメモは基本的にはそのままで、ファイルとして残してあるだけだという。つまり、やっていることは紙とペン時代と変わらない。内容の検索もできないから、そんなことなら数枚のコピー用紙を持ち歩いてメモし、自宅に戻ったところでスキャンして保存しておくので十分だとも思える。

だから、PCであってもペンの対応にはちょっと懐疑的で、個人的にノートPCに求める機能としては必須ではないと考えている。もっとも、ペン機能があればあったで、イラストの下絵を描いたり、校正チェックなどには重宝するので、その存在を完全に否定するものではない。

魅力はデジタルとアナログ、両方を持つ曖昧さ

そういう意味でも、QUADERNOはまさにアナログとデジタルの間にたって、いい塩梅のスタンスでの提案ができているのだろう。

それならKindle対応などを果たして、専用デバイスでは用意されていない大判の表示デバイスとしての方向性もありではないか。持ち歩かなければならない大量の資料と、その可読性の双方を提供でき、ニッチかもしれないがある程度の市場はあるはずだ。大きな画面で楽しみたいコミック閲覧にも最適だと思う。

とまあ、近い将来の可能性をいえばキリがないが、現時点では、圧倒的多数のアナログ派を説得できているという点で成功している。アナログな紙を捨ててデジタルの紙を使う。まずはそこから始めることが、その先につながる。中高年層に響いているのは、そのあたりの、まさに曖昧な部分なのかもしれない。

  • 発表会のゲストとして登場した松丸亮吾氏。ひらめきで解くナゾトキを会場で披露した。QUADERNOを使った難問に、取材陣が取り組んだ