テレワークとネット会議

現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、誰も予測しなかった、前例のない非常事態を迎えています。ワクチンや特効薬がまだない現在、感染拡大を防ぐ最大の対策は、外出を控え、人との接触を避けることです。しかし、一方で、業務の継続がなければ社会が成り立ちません。このため、今、もっとも注目を集めているのがテレワーク、在宅勤務、拠点間のビデオ通話(TV会議)を実現するコミュニケーションツールです。

マイクロソフトでは、こうした業務形態への解決策としてMicrosoft Teamsを提供しています。Microsoft Teamsは単なるビデオ会議ではなく、チームで業務を遂行するためのさまざまなコラボレーション機能を持っています。

  • Microsoft Teams

Microsoft Teamsとは

マイクロソフトでは、Office 365当初から、Microsoft Lyncというコミュニケーションツールを提供していました。Skypeの買収によってMicrosoft LyncはSkype for Businessと名前を変えて現在に至っていますが、Skype for Businessに代わる新世代コミュニケーションツールがMicrosoft Teamsです。Skype for Business Onlineは2021年7月末で廃止となり、今後はTeamsに集約する予定です。

Teamsには複数ユーザーによるチャット機能、ビデオ通話会議機能、ファイル転送、画面共有機能に加えて、SNSのようなグループコミュニケーション機能があります。組織内SNSと言ってもいいでしょう。

Microsoft Teamsのメリット

多数のビデオ通話システムやグループウェアが登場し、無料のビデオ通話システムなども人気が出ていますが、Microsoft Teamsにはいくつかの大きなメリットがあります。

(1)チーム機能

Teamsでは、ユーザーは必要に応じてチームを作成できます。チームは、必ずしも会社組織(部署)に沿ったものではありません。部署を横断したプロジェクトチーム、サークル活動のチーム、あるいは自由参加のゆるいチームなどを用途別に作成し、ファイルの共有、PC画面の共有、メッセージ掲示板などチームの共同作業に必要なさまざまな機能を装備しています。単なるビデオ通話システムではありません。

さらにチーム内でテーマ別にチャネルを設けて、話題をチャネル毎に進行することができます。

  • テーマ毎に「チーム」を作成して、SNSのようにメッセージ交換、情報共有を図れます

(2)SLA(サービス品質保証)

ほとんどの無料サービスでは品質保証がありません。非常事態の肝腎なときに、サービスがダウンしていて使えない、ということが置きかねないのです。特に、COVID-19の感染拡大や非常事態宣言の影響で、現在、急激に無料テレビ会議システムのユーザーが増加しています。その結果、サーバーが重くなり、繋がりにくくなっているサービスもあります。BCP(事業継続計画)から考えれば、SLAを締結できるより安定したサービスを選択すべきです。

(3)Microsoft Officeとの連携

TeamsはOffice 365製品群の1つですので、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneDrive、SharePoint、Yammerなどとの親和性が高く、連携機能を持っています。他社のコミュニケーションサービスよりシームレスにOffice 365のアプリケーションと連携可能で、作業効率を向上させます。

  • チーム内の共有フォルダーでファイルを共有できます

  • Microsoft Teamsアプリで、共有するOffice文書を直接表示、編集できます

(4)エンタープライズサービス

 大企業の利用にも耐えられるシステムです。1ユーザーが作成できるチームの上限は250、1ユーザーが参加できるチームの上限は1,000、チームのメンバー数の上限は5,000人、1テナント(組織)で作成できるチームの総数は500,000、ビデオ会議の参加者上限は250人と、よほどのことが無い限り、上限を気にする必要の無いスペックを備えています。

そのほかにも、ビデオ会議中に人物の背景を自動的にぼかす機能などはテレワークには、とても有効でしょう。また、ライブ配信機能では、自動的に字幕を表示し、数十カ国語に対応した翻訳機能もあります。

(5)新たな出費が必要ない可能性

現在、Microsoft Officeを使用していない企業、団体は、ほぼ皆無でしょう。そして、Office 365のクラウドサービスを含むプランにはMicrosoft Teamsの契約が含まれています。WordやExcel、PowerPointだけを使っていて今までTeamsを使っていなかっただけ…すでにTeamsも契約している…というケースが少なくありません。こうした状況であれば、Microsoft Teamsの有料版…とは言っても、新たな出費は発生しません。

Microsoft Teamsを含むプラン
(クラウドサービスを含む法人向けプラン)
Office 365 Business Premium
Office 365 Business Essentials
Office 365 E1
Office 365 E3
Office 365 E5
Microsoft Teamsを含まないプラン
(クラウドサービスを含まない法人向けプランまたは個人向けプラン)
Office 365 Business
Office 365 ProPlus
Office 365 Solo
Office Home & Business 2019
Office Personal 2019

今回は、まずMicrosoft Teamsの概要、有用性を紹介しましたが、次回から、実際にTeamsの活用法を紹介していきます。

  • Microsoft Teamsのビデオ会議。人数が増えると自動的に画面を分割します。さらに、ビデオ会議をしながら、PCの画面を転送したり、ホワイトボードを共有したりできます

  • iOSのスマートフォンでもMicrosoft Teamsを使えます

なお、当連載記事では有料版であるOffice 365のMicrosoft Teams取り上げますが、Microsoft Teamsには機能を限定した無料版もあります。

有料版と無料版の違い

機能 無料版 有料版
Webブラウザで利用
デスクトップアプリ(Teams専用アプリ)
ユーザー数上限 300ユーザー Office 365 Businessプラン:300ユーザー
Office 365 E1/E3プラン:5,000ユーザー
Teamsの中でWordやExcelを使用
Outlookと連携 ×
OneDrive、SharePoint、Planner、Yammerなどとの連携 ×
1ユーザー当たり容量 2GB 1TB
共有ストレージ 10GB 500GB×ユーザー数 + 1TB
音声通話・ビデオ通話
画面共有
会議の録音・録画 ×
暗号化
多要素認証の強制 ×
高度な監査 ×
管理ツール × Office 365 Business Essentials:×
Office 365 Business Premium:○
Office 365 E1/E3:○
使用状況レポート ×
SLAによる稼働率99.9%以上規定 ×
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