産業創出、交流人口拡大に力点 2018年度長崎県予算案

 長崎県は23日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計総額は約6960億円。新県庁舎整備が終わったため前年度より約285億円少なく、3年ぶりに7千億円を割り込んだ。知事選前は骨格予算にとどめる方針だったが、3選を果たした中村法道知事の意向から、政策的経費をできるだけ肉付け。実質は本格予算となり、新産業創出や交流人口拡大の施策を手厚くした。3月5日開会の定例県議会に提出する。

 中村知事は23日の会見で「夢をかたちにする第一歩目の予算」と名付けた。

 歳入不足のため貯金に当たる財源調整3基金を取り崩し、基金残高は14億円まで減少。効率的な執行などで18年度末に230億円まで回復すると見込むが、12年度と比べ121億円も少なく、財政状況の厳しさは続く。

 造船業の低迷を背景に、中村知事は「第2の基幹産業を育てなければならない」と強調。大手メーカーや長崎大と連携し、ロボットやIoT(モノのインターネット)分野の講座を開き、高度専門人材の育成などを促す事業費に約9千万円を計上した。この2分野で本格的な人材育成を県が進めるのは九州各県で初めて。

 さらに造船・プラント、半導体、航空機も含めた計5分野で、企業間連携によって事業を拡大するケースへの補助費約1億9千万円を盛り込んだ。IoTを巡っては、高齢者らの見守りに生かすシステムの実証費(200万円)もある。

 観光活性化では、外国人向け多言語コールセンター開設に1千万円を充当。長崎空港をはじめ県内の空港運営を民間に委託できるかを調査する(4200万円)。民営化に進むかが焦点となる。

 2年目に入る国境離島新法関連は国の交付金や特別交付税を含め、25億5千万円を計上。大村市内に19年1月に完成予定の新県立図書館の整備費に約57億5千万円を充てた。

 歳入は前年度比3・8%減の約6780億円。歳出は同3・9%減の約6960億円。不足額の約180億円を基金で穴埋めした。

 県民1人当たりの県債残高は、前年度より4千円増え89万5千円となった。

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