砲丸投げで全国目指す 松浦・青島中唯一の3年生 崎村さん 恩師と二人三脚 「上位狙う」

 松浦市星鹿町の離島、青島に砲丸投げの県強化選手として練習に励む島内唯一の中学3年生がいる。市立青島中の崎村謙信(けんしん)さん(14)。投てき競技選手だった同校講師、吉本和則さん(25)との出会いを機に、成績を伸ばした。環境が整わない中で練習を重ね、二人三脚で全国大会出場を目指す。
 人口205人(4月末時点)の青島。島内にある小中併設校の市立青島小中学校(西浦京子校長)に、児童生徒計15人が通学する。崎村さんは唯一の中学3年生で、生徒会長、卓球部部長を務めている。
 崎村さんが砲丸投げに出合ったのは中学1年の時。2016年6月に開かれた市中学総合体育大会で、体が大きかったことから砲丸投げに出場。1年生ながら7位の記録を出した。だが崎村さんは「その時は強く引かれる種目ではなかった」と本音を語る。
 転機は翌17年の市中総体。練習はほとんどしていなかったが優勝した。自身も選手時代に県大会での優勝を経験した吉本さんは、その姿に「絶対成長する」と素質を確信。県の大会に出場させる許可を、西浦校長に直談判したという。
 同年7月の本格的なデビュー戦では、6位入賞を果たした。「成績発表のアナウンスで『青島』と母校が呼ばれたことを誇らしく思った」という崎村さん。以来、卓球部の活動は週1回に減らし、砲丸投げに注力。同世代でも群を抜く力強さに加え、やる気も芽生え着実に成長した。
 吉本さんは「初めて赴任した学校。出会った生徒が砲丸投げに打ち込み、素質を生かして成績を伸ばしていることに縁と喜びを感じている」とほほ笑む。
 崎村さんは成績が認められ、18年1月、北部九州の強化合宿に県の指定選手として参加。4月の大会では全国大会の参加標準記録である13メートル00の成績を残した。7月の大会で同成績を出せば、全国大会に出場できるという。
 練習は、校内に専用の投てき場所がないためグラウンドに凹凸を作らないように敷いた畳を目がけて黙々と投げる。環境が整っているとは言い難い。それでも崎村さんは「競技自体は一瞬で終わる。けれど、タイミングやリズム、力の入れ具合がすぐに成績に表れる奥深さがある」と魅力を語る。中学生活最後の夏が近づく中、「全国上位入賞を狙いたい」と意気込んでいる。

吉本さんの指導を受けながら、何度も投てきのフォームを確認する崎村さん(右)=松浦市立青島小中学校

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