加藤氏発言巡り 抗議擁護の県議注意 自民県連

 自民党の加藤寛治衆院議員=長崎2区=の「3人以上産み育てて」発言を巡り、抗議の会見をした江真奈美県議=自民=の行動を「女性議員の矜持(きょうじ)に関わること」と是認する意見を前田哲也県議=同=が自身のブログに書き込み、問題視した中島廣義幹事長ら党県連三役が前田県議を口頭注意したことが22日、分かった。
 ブログの該当部分の削除も求め、党員からは「言いたいことも言えない組織はどうなのか」と批判も出ている。前田県議は取材に「慎重な対応を、という注意は理解できるので頭の片隅に置く。かといって自身の思いはこれからも伝えていくと返事した」と話した。
 同日、県議会会派室に呼び出して注意した。中島幹事長は取材に「前田県議も県連の役職がある。会長(の加藤氏)を批判しないよう注意した」と説明。江県議に対しては「共産党と会見したのが一番問題」とし、後日注意する考え。加藤氏の発言は「問題ない」とした。
 江県議は5月、共産党などの女性県議と会見。加藤氏の発言に「結婚・出産は個人の自由」と訴えた。その後、前田県議は自身のブログで江県議を罰する動きがあれば「党の信頼を貶(おとし)めた発言者ご本人の責任を問うことにもなりかねない」と、加藤氏の責任が問われる可能性に言及していた。
 一連の県連の対応に、自民関係者の一人は「年長者が若い議員の意見を押さえ込むのは良くない」と指摘。近江美保長崎大教授(国際人権法)は「何人子どもを産むのか決める権利は、本人やパートナーにあると国際的に認められている。加藤氏の発言をおかしいと抗議するのは女性として自然。県連会長と異なる意見にプレッシャーをかける方が問題だ」としている。

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