サビニャック作品楽しんで 周遊ガイドマップ作製 南島原の近藤さん カフェや図書館などに展示

サビニャックのポスターの前で、ガイドマップを手にする近藤さん=島原市、猪原金物店

 フランスのポスター画家、レイモン・サビニャック(1907~2002年)の作品を趣味で収集している長崎県南島原市深江町の近藤良明さん(67)が、島原半島のカフェや図書館などに展示中の作品を巡ってもらおうと、周遊ガイドマップを作製した。近藤さんは情操教育や観光への活用に向け、「貴重な作品を見ながら町巡りを楽しんでほしい」と話す。
 学校事務職員だった近藤さんが収集を始めたきっかけは10年前。仕事に疲れ休職していた時、訪れたサビニャックの展示会で一つの作品に引きつけられた。睡眠不足による病気の阻止を訴えたフランスの大学の健康保険組合の広告で、青い月夜に静かに眠るピンクのフラミンゴが描かれた傑作「睡眠=安定」だった。
 「静かな落ち着いた作風が、当時の体調に合っていて欲しくなった」と振り返る。収集を始めた1年後には、念願だった同作品も入手。眺めては疲れを癒やし仕事に励んだといい、現在ではビンテージ物など約130点を含む約800点を所有する。
 7年ほど前から島原半島の学校や郵便局、商店など約70カ所で収集品を無償展示。定期的に作品を入れ替えるなど活動を続け、半島周辺を“サヴィニャック街道”として紹介してきた。
 ガイドマップでは、ホテルやカフェなど立ち寄りできる24カ所を地図上に示した。配布用のA4判100部のほか、日本の菓子メーカーのポスターといった貴重な作品を含め15点を展示する猪原金物店(島原市上の町)など3カ所の拠点展示場での掲示用にA3判50部も作製した。
 近藤さんによると、サビニャックは千~1200点のポスターを手掛けたとされるが、「特定の地域にこれだけ作品が密集している場所は世界でも珍しい。鮮やかな色使いでユーモラスに表現された作品の数々を見に来てほしい」と呼び掛けている。

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