コロナ感染拡大 長崎くんち 奉納踊り、中止も視野 関係者「感染者少なくても厳しい」

2019年に奉納された籠町の「龍踊」の様子=長崎市、諏訪神社

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、380年以上の伝統がある諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭「長崎くんち」について、今年は奉納踊りの中止も視野に関係者が対応を最終調整していることが6日、分かった。12日に今年の踊町や同神社などの関係者らが協議し、対応を決定する見通し。中止になれば、昭和天皇の容体悪化に伴って取りやめた1988年以来。
 江戸時代前期の1634年に始まったとされる長崎くんちは毎年10月7~9日に繰り広げられる伝統行事。奉納踊りは国の重要無形民俗文化財にも指定され、各踊町の出番は7年に1度巡ってくる。今年の踊町は6カ町。
 6月1日には稽古始めとなる「小屋入り」が迫っており、今年の対応について最終調整を急いでいる。「1年延期すれば職場などの環境が変わり出られなくなる人も出てくる」として通常通りの開催を求める声もあるが、例年、多くの観光客でにぎわうため、複数の関係者は「長崎で感染者が少なくても(通常開催は)厳しい」との見方を示している。昭和天皇の容体悪化で取りやめた際は、その年の踊町は翌年に奉納した。今年が中止になった場合についても、今年の踊町の出番を来年に延期する案が出ている。
 同神社は「奉納踊りは市民の皆さんの気持ち。神社側は開催の可否を決める立場にない」とした上で、「たとえ奉納踊りがなくても、神事は今のところ執り行う予定」としている。

 


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