緊急事態宣言 対象地域で不安募る 新社会人、帰省も辛抱

 新型コロナウイルス感染拡大に備えた緊急事態宣言が発令され、長崎県出身の新社会人で、今春から対象地域で暮らし始めた若者の間に動揺と不安が広がっている。地元への帰省を望みながらも周囲への感染リスクを恐れ「帰りたくても帰れない」心境の中で日々を過ごしている。
 大阪市に本社を置く企業に就職した太田涼介さん(22)=諫早市出身=は、本社での研修のさなかに緊急事態宣言を知った。「今後のことを考えて目の前が真っ暗になった」。研修は5月末まで続く予定。片道約30分かかる電車通勤への抵抗感が日増しに強くなっている。
 今のところ、会社から地元への帰省自粛は求められていない。「地元に帰りたい。しかし自分が感染していたら、家族や友人にうつす可能性がある。今は辛抱するしかない」と太田さんは気丈に話す。
 長崎市出身の女性(22)は地元の大学を卒業後、福岡市内の会社に就職。社会人生活に胸を躍らせたが、入社式は取りやめになり、4月1日からタブレット端末を使って在宅で研修を受講している。同期入社の人たちの顔もほとんど知らない。1人で過ごす時間が多く「このままではいつか精神的に参ってしまう」と声を落とす。
 研修は今月中旬で終わる予定だが、ゴールデンウイーク終了後まで「在宅勤務」に決まった。感染の心配は少なくなったが「会社の人とも会わず雰囲気をつかめないまま、いきなりお客さん相手に仕事をすることになるのではないか」と不安を口にした。

 


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