新種のキツネザル、まんまる目玉でリスより小さい

マダガスカルで発見、体長15センチほどで尻尾はふわふわ

2018.01.17
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マダガスカルで見つかったキツネザルの新種グローブズドワーフレムール。(PHOTOGRAPH BY DR. EDWARD LOUIS JR.)
マダガスカルで見つかったキツネザルの新種グローブズドワーフレムール。(PHOTOGRAPH BY DR. EDWARD LOUIS JR.)
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 大きくてまんまるな黒い目、毛羽立った小さな耳、ふわふわとした尻尾、木をしっかりと握りしめる手。マダガスカルで新たに発見されたキツネザルは、なんとも愛らしい姿をしている。(参考記事:「動物大図鑑:ワオキツネザル」

 このキツネザルは先日、研究者らによって確認され、グローブズドワーフレムール(学名:Cheirogaleus grovesi)と名付けられた。発見された場所は、マダガスカルにある2つの国立公園だ。1つめのラノマファナ国立公園は山地の雨林が特徴で、もう1つのアンドリンギトラ国立公園には草地と森が広がっている。

 グローブズドワーフレムールは背の高い木の林冠で暮らしており、木の中に身を隠したり、花や花蜜を食べたりしている。社会構造に関してはまだ研究段階だが、集団を作っている様子や、個々に歩き回っている姿が目撃されている。平均的な体長は約15センチ、尾は約25センチと、一般的な北米のリスよりも小さい。オスとメスは交尾のためにつがいを作るが、子育ては主にメスが担う。(参考記事:「恋するキツネザルのペアは匂いもお揃い」

「彼らは極めて独特の生態的地位を有しています」。この新種に関する論文の執筆者で、米ヘンリードーリー動物園保存遺伝学研究所所長のエドワード・ルイス氏はそう語る。論文は学術誌『Primate Conservation』に掲載された。

確認作業に1年

 グローブズドワーフレムールを捕獲したとき、研究者らは遠くから麻酔銃で狙うか、さもなければ手を使った。麻酔銃で撃った場合には、ばねで広がる網を使って、地面に落ちる前に受け止めたという。研究者らは、その場で頭のサイズや体重を測定し、研究室で分析するための試料を採取した。研究のために捕まえた個体は、最終的にはすべて捕獲した場所に戻された。(参考記事:「巨大ネズミが落ちてきた! しかも新種」

 このキツネザルを独立した種として正式に命名するまでには、1年近くを要している。研究にはニューヨーク州立工科大学や、NGOの「Global Wildlife Conservation」も協力し、最後はヘンリードーリー動物園保存遺伝学研究所の研究員らが、グローブズドワーフレムールのDNAと、遺伝的に近い他のキツネザルのDNAとが明確に異なることを証明した。(参考記事:「世界の「雪男伝説」をDNA鑑定してみた」

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