米国で初めて、マルハナバチの1種が絶滅危惧種となった。
米国魚類野生生物局は10日、かつては広く見られたラスティーパッチド・バンブルビー(Bombus affinis)が「現在、絶滅の崖っ縁をふらつきながらさまよっている」と、同局のウェブサイトで発表した。それによると、このハチは過去20年で個体数が87%減少したという。(参考記事:「北アメリカでマルハナバチが激減」)
ほんの数カ月前には、米国で初めてハチが絶滅危惧種入りしたというニュースがあったばかりだ。2016年9月、ハワイのメンハナバチ7種(Hylaeus属)が、絶滅危惧種法(ESA)に基づく保護の対象となった。(参考記事:「ハワイ固有の小さい蛾のグループ、絶滅の危機」)
これら7種のハチが直面する脅威は、ラスティーパッチド・バンブルビーの個体数を減少させたものと同様だ。生息地減少、病気、寄生虫、殺虫剤、そして気候変動。ハチだけでなく、人間も大きな影響を受ける。何しろ、ハチは人間が食べる植物の多くに授粉しているのだから。(参考記事:「ミツバチの病気、マルハナバチにも蔓延」)
魚類野生生物局が提供しているラスティーパッチド・バンブルビーの概要によれば、マルハナバチは「ブルーベリー、クランベリー、クローバーといった作物の最も重要な授粉者の1つであり、トマトに関してはほぼ唯一の授粉昆虫である」という。「米国において、在来の昆虫(ハチがその大半を占める)が提供する授粉の経済価値は年間30億ドルと推計される」とのことだ。(参考記事:「90億人の食 希望のミツバチ」)
ラスティーパッチド・バンブルビーを絶滅危惧種に指定したという発表の中で、魚類野生生物局は、このハチの減少を止めるために個人にできる対策を列挙している。在来種の花を植える、殺虫剤の使用をやめるか制限する、そして「自然のままの土地を保つ、夏が終わっても庭の植物や草を刈らずに残しておき、越冬するハチに生息地を提供する」などだ。(参考記事:「マルハナバチはヒマラヤより高く飛べる」)