火山は同じものが二つとして存在しないが、そのでき方は、みな似たり寄ったりだ。ただ一つ、現在のバミューダ島を形作った古い火山だけは、どのように形成されたかが謎に包まれていた。
島の地下深くから掘り出した岩石を科学者たちが調べた結果、この静かな火山は、少なくとも今のところ、他に類を見ないメカニズムで形成されたことがわかった。5月15日に学術誌「Nature」に掲載された論文は、北大西洋に浮かぶこの美しい島についての長年の謎を解くだけでなく、火山形成のまったく新しいしくみを説明している。(参考記事:「大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?」)
謎を解くために研究チームが調査したのは、長さ800メートルの柱状の岩塊だ。バミューダで採取された唯一のコアサンプル(ボーリング調査で掘り出された円柱状のサンプル)であり、1972年に飛行場のそばで掘り出されたあとは、カナダ、ノバスコシア州のダルハウジー大学で埃をかぶっていた。チームは、何か珍しいものが含まれているはずと予想はしていたが、徹底的な分析を経て得られた結果はそれ以上に驚くべきものだった。
「海底の溶岩については50年以上にわたって数々の分析がなされていますが、今回バミューダで見つかったような痕跡は、かつて発見されたことがありません」と話すのは、論文の共著者である米国コーネル大学の地球化学者、エステバン・ガゼル氏だ。「新しい発見は、ラッキーな偶然によってなされることもあるのです」
今回、火山形成の新しいモデルが提唱されたことで、他にもバミューダと似たタイプの火山が大西洋で見つかるかもしれない。そう話すのは、論文の筆頭著者でドイツのミュンスター大学の地球化学者、サラ・マッザ氏だ。「私たちがまだ見つけていないだけです」
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