新しい火山形成のメカニズムを発見、バミューダ島

これまでの形成パターンに収まらない火山島、最新研究で解明

2019.05.21
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
国際宇宙ステーションから見るバミューダ島。非常に古い火山の上にある。(PHOTOGRAPH BY NASA, CHRIS HADFIELD)
国際宇宙ステーションから見るバミューダ島。非常に古い火山の上にある。(PHOTOGRAPH BY NASA, CHRIS HADFIELD)
[画像のクリックで拡大表示]

 火山は同じものが二つとして存在しないが、そのでき方は、みな似たり寄ったりだ。ただ一つ、現在のバミューダ島を形作った古い火山だけは、どのように形成されたかが謎に包まれていた。

 島の地下深くから掘り出した岩石を科学者たちが調べた結果、この静かな火山は、少なくとも今のところ、他に類を見ないメカニズムで形成されたことがわかった。5月15日に学術誌「Nature」に掲載された論文は、北大西洋に浮かぶこの美しい島についての長年の謎を解くだけでなく、火山形成のまったく新しいしくみを説明している。(参考記事:「大西洋沖の怪現象に新説、プレートが剥離中?」

 謎を解くために研究チームが調査したのは、長さ800メートルの柱状の岩塊だ。バミューダで採取された唯一のコアサンプル(ボーリング調査で掘り出された円柱状のサンプル)であり、1972年に飛行場のそばで掘り出されたあとは、カナダ、ノバスコシア州のダルハウジー大学で埃をかぶっていた。チームは、何か珍しいものが含まれているはずと予想はしていたが、徹底的な分析を経て得られた結果はそれ以上に驚くべきものだった。

「海底の溶岩については50年以上にわたって数々の分析がなされていますが、今回バミューダで見つかったような痕跡は、かつて発見されたことがありません」と話すのは、論文の共著者である米国コーネル大学の地球化学者、エステバン・ガゼル氏だ。「新しい発見は、ラッキーな偶然によってなされることもあるのです」

 今回、火山形成の新しいモデルが提唱されたことで、他にもバミューダと似たタイプの火山が大西洋で見つかるかもしれない。そう話すのは、論文の筆頭著者でドイツのミュンスター大学の地球化学者、サラ・マッザ氏だ。「私たちがまだ見つけていないだけです」

次ページ:プルームでもプレート境界でもない

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
会員*のみ、ご利用いただけます。

会員* はログイン

*会員:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方、ならびにWeb無料会員になります。

おすすめ関連書籍

ビジュアル 科学大事典[新装版]

2016年に命名された113番目の元素「ニホニウム」を収録した新元素周期表も新たにプラス!宇宙、地球、生物学、化学、物理学、技術、数学など幅広いサイエンス分野を網羅し、約1200点の美しい写真と図版で、わかりやすく解説。この一冊で、科学が身近に感じられます。

定価:10,560円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加