ブラジル西端部に暮らす孤立部族の保護に取り組む先住民保護活動家が殺害され、アマゾンの先住民や、その保護に携わる人々の間に不安が広がっている。
マクシエル・ペレイラ・ドス・サントス氏は9月6日、ジャヴァリ谷先住民区域近くの街タバティンガの大通りで、バイクの後ろの席に乗った何者かに射殺された。ジャヴァリ谷は、孤立部族が世界で最も多く暮らしている地域だ。(参考記事:「動画公開はアマゾンの未接触部族を救えるか」)
サントス氏は12年間にわたり、ブラジルの国立先住民保護財団「FUNAI」の職員として働いてきた。推定5000人ほどの先住民が暮らす、広さ約8万5000平方キロメートルの保護区に流れ込む2本の川沿いに設置された前哨拠点が、彼の職場だった。現在にわかに増加しつつある、野生動物や木材を狙う侵入者たちから、ジャヴァリ谷の豊かな生物多様性を守っているのは、この拠点に配置されたわずかな人数の職員だけだ。
今年に入ってから、拠点は武器を持った暴漢による襲撃を5回受けた。4度目は7月中旬で、その数日後には、FUNAIの職員と護衛の兵士たちが、絶滅危惧種のカメ300匹とその卵4万個を保護区から盗み出そうとする密猟者たちを現行犯で捕えている。
ブラジルアマゾンの全域で、野生動物の密猟者、違法な金の採掘者、土地を狙う開拓者、麻薬の密売人など、ありとあらゆる種類の犯罪者が、先住民族の土地に違法に入り込んでいる。ブラジル国立宇宙研究所によると、8月末の時点で、150カ所近い先住民区域内で3500件にのぼる火災が発生していたという。そのうち少なくとも13カ所に孤立部族がいた。
「これらすべての要因によって、孤立部族は危険にさらされ、悪人の手から常に逃げ回る生活を強いられています」。ロンドニア州ポルト・ヴェーリョの大司教で、カトリック教会による人権保護団体「先住民宣教師協議会」の代表を務めるホッキ・パロスキ氏はそう語る。同団体が先日発表したところによると、保護区で発生した侵入事例は、2018年の1年間では76カ所111件だったが、今年は年初からの8カ月だけで、153カ所160件まで増加しているという。(参考記事:「アマゾン森林火災、実態は「伐採規制前への逆行」」)