新型コロナ、米NYの高い致命率が判明、従来のほぼ倍

インフルの50~100倍の推定も、米国でも若者の比率が急上昇、疫学者ら憂慮

2020.07.09
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2020年6月30日、米国テキサス州ヒューストンにあるユナイテッドメモリアル医療センターで、防護服姿の医療スタッフが、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者を担架に乗せ、外で待機する車に向かう。テキサス州のロックダウンが解除されて以来、新型コロナウイルス感染症の患者数と入院者数が急増して集中治療室の病床は埋まっており、死亡者も急増するのではないかという懸念が高まっている。(PHOTOGRAPH BY GO NAKAMURA, GETTY IMAGES)
2020年6月30日、米国テキサス州ヒューストンにあるユナイテッドメモリアル医療センターで、防護服姿の医療スタッフが、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者を担架に乗せ、外で待機する車に向かう。テキサス州のロックダウンが解除されて以来、新型コロナウイルス感染症の患者数と入院者数が急増して集中治療室の病床は埋まっており、死亡者も急増するのではないかという懸念が高まっている。(PHOTOGRAPH BY GO NAKAMURA, GETTY IMAGES)
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 米テキサス大学オースティン校のデータ科学者ジェームズ・スコット氏が不安を感じ始めたのは、5月下旬のことだった。テキサス州が企業活動や公的な集会に対する規制を緩和してから1カ月ほど経った頃だ。

 スコット氏は、携帯電話の移動データを利用して人々の移動パターンの変化をつかみ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数を予測するモデルを開発していた。レストラン、バー、ジム、コンサート会場を訪れる人の劇的な増加を目の当たりにした彼は、テキサス州の感染者数が急増するのは時間の問題だと感じた。「風向きを知るのに天気予報官はいらないと、ボブ・ディランも歌っていたでしょう?」と彼は言う。

 テキサス州を始めとするいくつかの州では、ソーシャルディスタンスを確保するためのガイドラインを緩和した後、ここ数週間で新型コロナウイルスの感染者が急増している。これまでのところ死者数はさほど増えていないが、専門家は、新型コロナウイルスが弱毒化したわけではないと警告している。

 死者数があまり増加していない理由の1つは、この感染症は患者が死に至るまでにある程度時間がかかる上、お役所仕事のせいで死亡者数の記録に余計に時間がかかっているからだ。たとえば今日の死亡者は、3~4週間前に感染していた可能性が高い。

 新型コロナウイルス感染症の致命率の見積もり方がわかってきた今では、その数字が憂慮すべきレベルであることも明らかになった。「感染致命割合(IFR: Infection Fatality Rate)」という、過去数カ月分のデータを使った非常に複雑な最新の計算結果から、新型コロナウイルス感染症の致命割合は季節性インフルエンザより50~100倍も高いことが示されている。(参考記事:「新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは」

 米国をはじめ、感染者数が急増している国では、現在と同じ対応をしていては夏から秋にかけて恐ろしい事態になると予想される。

 オーストラリア、ウーロンゴン大学の疫学者で、自称健康オタクのギデオン・マイヤーウィッツ・カッツ氏は、現時点での米国の死亡者数を引き合いに出し、「12万8000人という死亡者数が途方もない数字であることを理解するのに、多くの計算をする必要はありません」と言う。

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