アメリカ、世界の原発と地震リスク

2011.03.30
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アメリカの年間原子力発電量:7987億キロワット時

 1979年のスリーマイル島原子力発電所事故以来、アメリカでは新規の建設はストップしている。しかし、いまだ世界最大の原発大国として他国に大差をつける存在だ。保有する104基の原子炉の発電量は、2位フランスと3位日本の合計を上回る。それでも、莫大な電力需要の20%を賄うにすぎない。

Photograph by Emory Kristof, National Geographic
アメリカの年間原子力発電量:7987億キロワット時

 福島第一原子力発電所の大惨事により、原子力発電への依存が強い世界各国は地震災害の再評価を迫られている。しかし、地震によるリスクは、原子力発電量の多い上位10カ国でも大きく異なるようだ。 1979年のスリーマイル島原子力発電所事故以来、アメリカでは新規の建設はストップしている。しかし、いまだ世界最大の原発大国として他国に大差をつける存在だ。保有する104基の原子炉の発電量は、2位フランスと3位日本の合計を上回る。それでも、莫大な電力需要の20%を賄うにすぎない。

 アメリカ西部には地震の引き金となる断層が集中しているため、福島第一の事故を目の当たりにしたアメリカ政府がカリフォルニア州の2基の原発を不安視するのも当然といえる。サンクレメンテのサンオノフレ原子力発電所と、アビラビーチのディアブロキャニオン原子力発電所は沿岸部の断層近くに立地しているのだ。

 ノースウェスタン大学地球惑星科学部の地震学者セス・スタイン氏によると、北アメリカプレートと太平洋プレートが衝突する西部は、東部と比較して地震危険度が約5倍高いという。同氏は、アメリカ中西部の地震危険度に対する認識が変化している最新の科学的知見を示した書籍『Disaster Deferred』の著者。その中で、原子炉が集中する中部および東部の一部でも地震の危険は存在すると述べた。例えば、サウスカロライナ州チャールストン、マサチューセッツ州ボストン、ミズーリ州ニューマドリッドの付近で大規模な地震が過去に発生している。

 福島第一事故のはるか前からアメリカでは、エネルギーと核の規制当局や非営利の業界団体「電力中央研究所(EPRI)」が、中央部・東部の新たな震源地の特徴を調査していた。作業は今年後半に完了する予定だ。

 なお、アメリカで最も地震が多いアラスカ州に原発はない。

Photograph by Emory Kristof, National Geographic
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