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手帳サイズの「経営計画書」で成果

栃木の中小企業のコミュニケーション術
手帳サイズの「経営計画書」で成果

社員は常に携帯するという(イラストはイメージ)

 経営数字を共有し、コミュニケーションを円滑に―。福祉機器と板金加工のシンテックス(栃木県さくら市)は、社員約90人に「経営計画書」と題する手帳を配布し、効果を上げている。導入から3年目の2016年は”技術の基礎知識“も織り込み、今後、手帳の活用状況を人事考課にも反映させる考えだ。

 経営計画書には、16年3月期の売上高15億円(前年度比4%増)、営業利益率3%という目標や、中期的に「1人当たり1000万円の純資産と1年分の固定費を預金で持つ会社に」といった経営目標を明記している。

 15年の社員目標「報・連・相」に関連する項目では、「目的・結論から」「短く・簡潔に」「悪い報告こそ早く」などを掲げる。記述式になっているのが特徴で、会議の結果をメモできるほか、製造原価や売上総利益、一般管理費などの実績を目標と比較しながら、月ごとに記入できる。

 サイズは縦18センチ×横11センチメートルで、全150ページ。「トップの考えを載せ、社内でベクトルを合わせる」(八木澤社長)狙いで製作・配布を決定。社長自身が長年書き留めてきた経営のヒントや先人の知恵などを満載。社員は常時携行し、社外秘だが、家族への回覧は唯一よいとしている。

 導入の結果、社内の会話が活発になり、製品不良件数が連続してゼロになるなど、品質維持・向上につながっている。来年は垂直度や平行度、表面粗さといった幾何公差などの「技術資料」も盛り込み、モノづくり力アップを図る。(宇都宮)
2015年09月03日 モノづくり基盤・成長企業面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
一般的に自社の売り上げ目標や中期経営計画の中身を把握している社員はどのぐらいいるのでしょうか。シンテックスの取り組みは、お題目ではなく一丸となって事業拡大しようという意欲が感じられるような気がします。

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