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米国のAI研究・普及団体に加盟、アップルに人材は集まるか

アマゾン、FB、グーグルなどに遅れ。危機感の表れか
米国のAI研究・普及団体に加盟、アップルに人材は集まるか

パートナーシップ・オン・AIのロゴ

 人工知能(AI)の研究・普及を目指す米国の非営利団体「パートナーシップ・オン・AI」は27日、米アップルが加盟したと正式発表した。同団体が2016年9月に設立を発表する以前からアップルが活動に協力していたことから、同社を創設メンバーとして迎え入れた。団体全体の活動を監督したり、方向性を決める評議会の初会合は2月3日にサンフランシスコで開催の予定。

 同団体はアマゾン、フェイスブック(FB)、グーグル/ディープマインド、IBM、マイクロソフト(MS)などが2016年9月に設立した。人間や社会に貢献するAI技術の将来に向けた相互情報交換やリソースの蓄積、啓蒙を目的としており、政府に対するロビー団体ではないと強調している。

 パートナーシップ・オン・AIの暫定共同会長は、MSのテクニカルフェローでマイクロソフトリサーチ代表のエリック・ホービッツ氏と、ディープマインド共同創設者のムスタファ・スレイマン氏が務める。さらに評議会の評議員には、大学教授や財団のほか、アップルを含めた創設メンバー6社のAI研究責任者が就任した。

 評議員に就いたのは、グーグルのシニアリサーチサイエンティストであるグレッグ・コラド、アマゾンの機械学習部門を率いるラルフ・ハーブリッチ、MSのエリック・ホービッツ、FBのAI研究所長であるヤン・ルカン、IBMのT.J.ワトソンリサーチセンター・リサーチサイエンティストであるフランチェスカ・ロッシ(伊パドヴァ大学教授)の各氏。

 アップルからは、音声アシスタント「Siri(シリ)」の元々の開発メンバーで、アップルに10年に買収される前のシリ社を07年に共同で創設したトム・グルーバー氏が評議員になっている。
2017年1月28日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
昨年12月にはアップルがAIの研究論文を初めて公開するなど、特にこの分野では伝統的な秘密主義の方針を変更しつつあるようです。一時はSiriで先行しながら現在はアマゾンやグーグルの後塵を拝するアップル。クローズドなやり方では情報も優秀な人材も入ってこないという現実に、危機感を募らせているのかもしれません。

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