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プロジェクションマッピングを支える「透明フィルム」の実力

JXTGエネルギーが「カレイドスクリーン」で内装・建材分野へ
プロジェクションマッピングを支える「透明フィルム」の実力

「透明」と「映る」を両立するカレイドスクリーン

**内装・建材向けにも展開
 JXTGエネルギーは、窓ガラスやアクリル板に貼るだけでスクリーンになる透明フィルム「カレイドスクリーン」の用途拡大に取り組んでいる。主にイベント空間の演出に使われてきたが、透明という意匠性を生かすサイネージや窓ガラスの飛散防止機能を兼ね備えたフィルムとして、内装・建材分野へ活躍の舞台を広げつつある。

 従来、透明な素材に投映するためには、光を多重散乱するフィルムを貼る方法が一般的だった。しかし、光の散乱は、すなわち透過性の低下。窓ガラス本来の機能を損なう。「『透明』と『映る』は相反する概念だった」(西村涼機能材カンパニー機能材事業化推進部副部長)という。

 同社は液晶ディスプレー向けフィルム材の研究開発過程で、透明で屈折率の高い微粒子が、指向性を持って一度だけ光を反射する単一散乱に注目。これまでにない透過率90%のスクリーン用透明フィルムを2014年に試作した。これがプロジェクションマッピングのネイキッド(東京都渋谷区)の目に留まり、カレイドスクリーンが誕生した。東京タワー(同港区)や、あべのハルカス(大阪市阿倍野区)などで夜景とプロジェクションマッピングを融合したイベントが開催されている。

 だが、イベントだけでは需要に限界があり、窓ガラス用に飛散防止機能を付加した製品も開発し、大手不動産会社による採用に結びつけた。「設計事務所や店舗内装業者にもアプローチしている」(川端辰弥同機能材事業化推進1グループチーフスタッフ)状況だ。
(文=編集委員・青柳一弘)
日刊工業新聞2019年2月15日

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