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人工流れ星のALE・岡島社長、リブランディングに込めた「ペイル・ブルー・ドット」

会社イメージ再構築
人工流れ星のALE・岡島社長、リブランディングに込めた「ペイル・ブルー・ドット」

ALE社長 岡島礼奈氏

ALE(エール、東京都港区、岡島礼奈社長)は、人工的に流れ星を創出する宇宙エンターテインメント事業「Sky Canvas」に取り組むベンチャー。設立から10年となる2020年から会社イメージのリブランディング(再構築)を進めている。岡島社長に狙いと今後の展望を聞いた。

―リブランディングの狙いは。

「当社の事業をわかりやすく、親しみを持って幅広い層に伝える戦略だ。人工流れ星事業は23年の実現を予定し、まだ具体的な形の商材がない。この状況下でイメージを抱いてもらい、当社の存在意義でもある科学とビジネスを融合して、科学の発展に寄与するということを分かりやすく伝えたい。エンターテインメント性だけではなく、科学へ貢献し宇宙を文化圏にするという理念を発信する」

―リブランディングのテーマとした「青」の意味は。

「『遠い宇宙から見れば地球は小さく薄い青い点にすぎない。天文学は謙虚な視点を与えてくれる』という米国の天文学者カール・セーガン氏の考えから青を採用し、宇宙に進出しながらも地球を大事にするという全従業員の思いを反映した。青という単語には多様な意味がある。“青”二才のように謙虚かつ貪欲な好奇心を持ち、宇宙というブルーオーシャンを文化圏にするために挑む開拓精神を込めた」

―進行状況は。

「20年からリブランディングに着手し、コーポレートステートメントとホームページを一新した。現在は社内外で変更の効果を測定している。今後もオリジナルグッズを作るなど幅広く展開したい」

―事業の展望は。

「人工流れ星は23年に実現を目指して進行中だ。以前から計画していた大気データの取得・活用を目指すプロジェクトも、輪郭が見えてきた。研究機関や民間企業と共にチームを作り、当社の人工流れ星、小型衛星、プラズマ技術を駆使して大気圏の水蒸気データを採取・活用し、精密な気象予測につなげる。また、人工衛星のスペースデブリ(宇宙ゴミ)化防止事業を進めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同事業で、衛星を打ち上げる実証実験を近年中にも実施する予定だ」

記者の目/技術駆使した商材期待

「映像で流れ星を投影するのは当社の役割ではない」(岡島社長)というように、ALEの根底にあるのは科学技術への貢献だ。気象予測に貢献する新たなプロジェクトの始動も予定していて、エンターテインメントや人々の暮らしへの貢献など科学技術を駆使した商材の誕生を期待したい。(市野創士)

日刊工業新聞2021年2月16日

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