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ドコモが「大量販売・大量解約」から脱却へ。方針変更を通達

販売店手数料の評価基準、絶対数から目標値に対する達成率に
ドコモが「大量販売・大量解約」から脱却へ。方針変更を通達

接客業の原点に立ち返り、顧客満足度の向上に力を注ぐ

NTTドコモは携帯電話販売店での端末やサービスの売り方を転換する。販売店に支払う手数料を決める評価基準を変更し、顧客に最適なきめ細かいサービスを提案し満足度を向上。販売数量のみを追いがちな「大量販売・大量解約」の売り方から脱却する。

 総務省による端末の実質0円販売撤廃で携帯大手の間の競争が緩和する中、2年前に販売店に導入した成果主義の“弊害”を解消。契約シェアトップの強みを生かし、長期ユーザーをはじめとした既存顧客の囲い込みに注力する戦略だ。

 携帯販売店の全国店長会議で伝えた。販売店に支払う手数料の評価基準を販売の「絶対数」から目標値に対する「達成率」に変更した。例えば100台の目標に対して120台販売した場合、120%の達成率。従来は120台の評価であったため、規模の大きい店舗が有利だった。

 ドコモが手数料の支払い体系を従来の固定型から成果連動型にシフトしたのは2015年春。ドコモが売ってほしいサービスを売るほど、販売店への手数料が増える仕組みだ。例えばコンテンツサービス「dマーケット」や光回線サービス「ドコモ光」などが、この対象となる。

 結果、dマーケットなどの契約数は拡大した。だが一方で顧客離れも進んだ。規模の大きい店舗に比べて不利な一部の店舗で“押し付け販売”が散見され、成果連動型のマイナス面が露呈した。

 押し付け販売は業界全体の課題とも言えるが、ドコモ社内では売り方への疑義が生じ、販売店もドコモに申し入れていたようだ。これを踏まえ、成果連動型は維持しつつ、より質を高めた売り方に変えた。

今後は高齢者や若年層、通話の少ない人などユーザーに合ったサービスを提案。店舗で顧客のニーズをヒアリングし、熟練スタッフにいったん相談してから接客したりする。店舗ごとに取り組み、良い事例を集めて横展開していく。
日刊工業新聞2017年5月18日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
端末の0円販売撤廃で携帯大手の間の顧客獲得競争は、ほぼ終息している。そのためドコモは顧客の機種変更や、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行の際、他社への乗り換えをいかに防ぐかが優先課題となっている。携帯料金の引き下げに向けた料金プランを出しつつ、販売店で顧客の満足度を高めながら中長期の視野で顧客基盤を強固にしていく考えだ。 (日刊工業新聞第一産業部・清水耕一郎)

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