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“元医者”のホストが歌舞伎町を選んだ理由「自分らしさが出せない環境が合わなかった」

「母親はまだ、ホストの仕事を認めていません」  歌舞伎町のホストクラブ「Top dandy 1st」に所属するDr.ななとさん(26歳・@nanasexnanato)は源氏名の通り医者として働いていたが、家族の猛反対を受けながらもホストの道を選んだ。ななとさんはなぜ、社会的地位の高い医者という仕事を捨て、夜の世界に居場所を求めたのだろうか。
Dr.ななと

Dr.ななとさん

私大医学部に合格も「経済格差」に劣等感を抱える

 ななとさんは勉強に厳しい両親の下、難関国公立大学・医学部への合格者を多数輩出するトップレベルの高校に進学した。例に漏れずななとさんも医学部を志したのは、通学中に起きたある出来事がきっかけだった。 「電車の中で目の前の人が倒れたとき、たまたま居合わせたお医者さんが迅速に初期対応していました。それまで勉強する意義を見いだせなかったのですが、その人を見て、自分の学びを人のために生かせる人になりたいと思ったんです」  進学校の中で成績はイマイチだったが、負けず嫌いな性格もあいまって、毎日10時間以上勉強し、高校3年の受験期には学年30位以内まで成績を伸ばした。その結果、現役で私立の医学部に合格することができた。 「受かったのはうれしかったですが、入学後、他の生徒との経済格差に劣等感を覚えました。私立の医学部に入学する人の大半は金持ちで、アルバイトはしないか、“社会経験”として少しだけやっている人がほとんどでした。しかし、僕の家庭はそこまで裕福ではなかったので、働きながら奨学金を返さなければなりませんでした」  そこで始めたのがホストだった。

現役東大生ホストから勧誘されてホストに

Dr.ななと

高校や家庭は「勉強ができないと周囲に認められない環境だった」という

 東大に通っている友人が歌舞伎町のホストクラブでホストのアルバイトをしており、彼から「絶対に向いているから」と勧誘を受けた。 「彼の接客を見ていると、ホストは分析したり戦略を立てたりなど、考える能力が必要だと分かりました。頭を使うことは好きだったので、自分にもできるかもしれないと思い、友人と同じ店に入店しました。それに、平均賃金くらいのアルバイト代で医学部の奨学金を返すのはかなり大変です。高時給であることも、ホストを始める理由の1つでした
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「医者を辞める」と言ったら両親は大反対
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