血管・血液を知る

血液中の“警備員”好中球と有害物質の闘い 傷口の膿の正体

写真はイメージ(C)PIXTA

 血液1マイクロリットル(1000分の1ミリリットル)中、だいたい4000~9000個が含有している「白血球」は、細菌やウイルスなど体内に侵入してきた有害物質を排除し、病気から私たちの体を守ってくれます。

 この白血球には3種類(顆粒球、リンパ球、単球)ありますが、まず顆粒球について少し詳しく説明しましょう。

 顆粒球の寿命は約2~14日といわれ、好中球、好酸球、好塩基球の3種類に分かれます。好中球は、末梢血内(通常の血液)で白血球全体の50~70%、顆粒球の90から95%を占めている主要細胞成分です。

 では好中球はどのような働きをするのでしょうか。例えば手足に傷がついて細菌や真菌などに感染した場合、傷口に真っ先に集結するのがこの好中球なのです。無色半透明の球状をしており、偽足を出してアメーバのような運動を繰り返しながら、感染巣に到達して細菌類に接触します。すると、表面のレセプター(受容体=細胞外の特定の物質と特異的に結合する物質の総称)が働いて、接触した細菌を異物と認識します。そしてこの有害物質を包み込むようにして、好中球の中に取り込んでしまうのです。

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