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「筋肉は裏切らない」でがんも克服 石井直方東大教授

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NIKKEI STYLE

筋肉研究の第一人者として知られる東京大学の石井直方教授。学生時代からボディービルダー、パワーリフティングの選手として活躍、日本ボディビル選手権大会で優勝もした。NHKの人気番組「みんなで筋肉体操」に出演する谷本道哉・近畿大学准教授は弟子の一人で、石井教授は筋トレブームの火付け役的な存在だ。深刻ながんも克服した"筋肉博士"に筋トレ効果などについて聞いた。

「筋肉は裏切らない。加齢とともに筋肉はどんどん落ちる。しかし、筋トレをすれば、努力の分だけ成果が出る。90代でも筋肉は増えるというデータもある。高齢者は体力が年々落ちるが、逆に向上するケースもある。筋トレはモチベーションアップにもつながる」と石井教授は強調する。現在64歳になる筋肉博士が、筋トレ効果に目覚めたのは都内の名門進学校、暁星高校1年生の夏だった。

筋トレはまる、ボディービル大会で優勝

夏期講習などで勉強も忙しかったが、夏休みに自主トレを敢行した。腕立て伏せや懸垂、プールで毎日のように泳ぎ、規則正しい生活を心がけると、一夏で体つきが見違えるほど変わった。筋肉を鍛えることに興味を持ち、東大に入学するや、当時は珍しかったボディビル&ウェイトリフティング部に入った。いきなり80キロのベンチプレスを上げ、先輩たちをどよめかせた。半年後には関東学生選手権の新人戦で優勝してしまう。

東大の理科2類から理学部生物学科に進学、競技者と研究者の両輪で筋肉研究に乗り出した。博士課程に進む一方で、日本ボディビル選手権大会に挑み、1981年に優勝。翌82年にはIFBBアジアボディビル選手権大会90キログラム以下級で優勝して話題になった。

英国のオックスフォード大学留学後、35歳から東大の駒場キャンパスで筋トレの仕組みや効果に関しての研究に本格的に取り組み、「筋肉博士」と呼ばれるようになった。実は1980年代ぐらいまでは筋トレはマニアックなトレーニング方法で健康増進にいいとは見なされなかった。むしろボディービルで筋肉を増やせば、動脈硬化が進み血圧上昇につながるとマイナスイメージだったが、「それは誤解でした。筋肉増強剤などドラッグを使用することが血圧上昇の原因ということが後に分かった」という。

90年代になると風向きが変わった。少子高齢化が急速に進むなか、「健康寿命を保つには筋肉の維持・増強が不可欠という認識が高まった。高齢者になると、やはり足腰の筋肉がどんどん衰え、立ったり、歩くことがしんどくなったり、転倒して寝たきりになる主因になる」。腕や肩など上半身の筋肉は30歳から80歳までに30%程度減少するが、足腰を支える下半身の太ももやお尻の筋肉は同50年間で、50%程度も減少するという。

体温や脳の機能も維持 隠れた筋肉の効果

しかも筋肉の減少は、さらにカラダに深刻な影響を及ぼすことが分かってきた。「筋肉は運動器ととらえられてきたが、体温維持のストーブのような健康を保つ上で重要な役割を果たしている。例えば筋肉が増えれば、糖をたくさん取り込むので、糖尿病予防につながることも分かった」と語る。

脳機能を維持する役割も果たしているという研究も進む。「マイオカイン」と総称される筋肉をよく動かすことで筋肉そのものから分泌される物質があるが、ラットを使った実験で、脳に作用して神経細胞を増加させたり、減少を防いだりする効果を認められたという。高齢者の認知症予防につながる可能性もあるわけだ。

しかし、ボディービルダーのようなに筋トレをがんばりすぎるとカラダの負担が重くなり、健康を損ねる遠因にもなりかねない。「競技者は勝つために無理をするし、手段を選ばない。私も肩とかいろんなところにガタがきている」という。

実は3年前、61歳のときに突如大病に襲われた。悪性リンパ腫が発症、ステージ4の末期がんだった。「仕事が忙しくて頑張りすぎた。夜2時、3時に寝て睡眠時間は5時間ぐらい。健康を過信していた」。1カ月間の無菌室での抗がん剤投与など半年間のつらい治療が続いた。「危ういところだった。体力的に大丈夫か」と心配になったが何とか耐えた。自らの幹細胞も移植して、病を克服した。体重は80キロから61キロまで減った。蓄えた筋肉がすっかり落ちたが、現在は77キロまで戻った。

仕事も筋トレも「スロー」がおすすめ

仕事や生活に対する姿勢を改めた。規則正しい生活を心がけ、今は「仕事は終わらなければ、その日に終えることはあきらめる」という。睡眠時間は7時間近く確保することにした。「何事もやりすぎはダメ」と戒める。

石井教授が勧める筋トレ法は、誰もがどこでも簡単にでき、過度な負荷をかけたり、激しい動きをしたりするのではないスロートレーニングだ。「基本はスクワットです。高齢者でも何百回もやる人がいるが、そんなに数多くやる必要はない。とにかく正しいフォームでゆっくりとやれば、1日10回程度で筋トレ効果が出る。膝を曲げえてしゃがむのに4秒程度、膝を伸ばしてからだを起こすのに4秒程度をそれぞれかけるといい」と説く。

「インターバル速歩」も効果があるという。信州大学の研究では、速歩きとゆっくり歩くことを交互に3分間、1日30分程度行うことが効果的としている。

「高齢者でも筋肉は増える。私の研究では最高齢82歳の高齢者チームで筋トレ効果があった。海外では97歳の方の筋トレ効果も報告されている」。年をとればとるほど、筋肉は減り、体力は衰える。しかし、筋トレを積み重ねれば、体力の維持・向上になり、健康増進につながる。無論、過度な運動は禁物で、バランスのいい生活リズムを整えることが大前提になるという。大病も乗り越えた筋肉博士は無理せず、楽しく筋トレをやることが大切と話す。

(代慶達也)

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