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作者不明とされてきた6枚 北斎の西洋風肉筆画 オランダの博物館で判明

 オランダのライデン国立民族学博物館所蔵で、長く作者不明とされてきた6枚の絵が、江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)の肉筆画であることが、同博物館の調査で分かった。西欧の水彩画の技法をまねた、北斎としては異色の絵。親交があったドイツ人医師シーボルトらから影響を受けた作品群とみられる。長崎市で開催中の国際学会「シーボルトコレクション会議」で22日に報告される。

 6枚は江戸の街並みを描いた風景画。タイトルはないが「日本橋」「両国橋」「品川」などを題材に川や人々、橋を描いている。空を大胆に取り入れた構図などに西洋画の特色が表れている。輪郭を黒く縁取りした後に色付けしていた当時の日本画と違い、縁取りがない点も西洋画の影響が見て取れる。

 江戸期の絵師たちの間には、外国人から絵を受注できるのは、長崎の出島出入り絵師として認められた川原慶賀(1786~1860)だけと認識され、ひそかに受注した場合は、落款を押さず「作者不明」として描いていたという。

 6枚に落款はなく、これまで慶賀や助手らの作と考えられてきたが、調査した同博物館シニア研究員のマティ・フォラー氏は、シーボルト直筆の目録にある「北斎がわれわれ(欧州)のスタイルで描いたもの」などの記述から、6枚は北斎が描き、シーボルトの手に渡った絵であることを突き止めた。フォラー氏は「新たな技法を習得しようと努めた北斎が、シーボルトらとの交流で知った西洋風の描き方に挑んだ作品群だろう」と分析する。

 長崎のオランダ商館で働いていたシーボルトは1826年に江戸に上った際、北斎らと面会したことが分かっている。同博物館には、この6枚とは別に、北斎の肉筆画と認められた11枚が伝わっている。

この記事は2016年10月22日付で、内容は当時のものです。

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