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「チーム中村」で広がるアフガン支援 中村哲医師の遺志継ぐ取り組み

助言役に技術者、寄付金4倍に

 アフガニスタン復興支援の道半ばで昨年12月、凶弾に倒れた故中村哲医師の遺志を継ごうとする取り組みが着実に進んでいる。中村さんを支援してきた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」は外部の専門家との連携を充実させて態勢を強化。事件後に寄せられた浄財は2018年度の1年分を超える約2億8千万円に上る。共感の輪が根を張り、各地に広がっている。

 「事業を手伝おうと思っていた矢先に亡くなられた」。14日に福岡市の事務所で開かれた会合で、会の活動に初めて関わる同市の大和則夫さん(70)はそうあいさつした。建設コンサルタント会社で多くの河川工事を手掛けたベテラン技術者。今後、用水路建設の助言役を担うという。

 中村さんは、医師でありながら用水路の設計から建設の陣頭指揮、重機の操縦まで担った。その圧倒的な存在を失った後、村上優会長(70)は「今後は『チーム中村』で対応していく」と何度も強調した。事業は中村さんにほれ込んだ国際機関や民間の専門家からさまざまな協力を受けてきた。「チーム中村」は、そうした支援者との協力関係を強めて事業を継続していく考え方だ。

 この日の会合には国際協力機構(JICA)や民間企業に所属する5人が出席。大和さんら2人が初参加だった。「どんな図面があるのか」「一日も早く詳細なデータを見たい」。熱を帯びた議論に村上会長も「これで一つ動いた気がします」と顔をほころばせた。

 会は1月、中村さんと親交があり、農業に詳しい福岡県朝倉市の徳永哲也さん(73)を理事に任命。アフガン側との情報交換を密にできるよう、現地で活動するNGO「PMS」(平和医療団)の技師が用水路の状況を毎日見回り、定期的に日本側に写真で報告することも決めた。会のPMS支援室は「一致団結して中村先生の代わりを担っていこうという意識が現地でも高まっている」と話す。

 活動を後押しする動きも広がる。会が把握しているだけでも全国約50カ所以上で追悼の集いや写真展が開かれた。開催予定も含めると計約100カ所に上るという。

 事業を支えるのは、全国から寄せられる浄財。昨年12月~今年2月に集まった会費と寄付金は前年同期比の約4倍だった。中村さんは生前「20年にわたり事業を続けるために、20億円の基金が必要だ」と述べていた。現在、事業のために会が運用する「いのちの基金」の残高は約7億4千万円。会は「多くの人にさらなる理解を求めていきたい」と話している。

(中原興平)

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