「黙ってつぶれるわけには」食品会社がアマビエラーメン デザインは谷口亮さん
福岡市博多区の食品会社「味蔵」(森伸明社長)が、疫病をはらうと伝えられる妖怪にちなんだ「アマビエラーメン」が好評だ。パッケージデザインを描いたのは、東京五輪・パラリンピックのマスコットキャラクターを手掛けた同市城南区の谷口亮さん(45)。「コロナ禍で影響を受けた人たちを元気づけたい」との思いが込められている。
同社は福岡県内の人気店の味を再現した持ち帰り用ラーメンなど、主に土産物向けの商品を扱う。コロナ禍で旅行客が激減し、商品を置いていた店舗も多くが休業。同社の5月の売り上げは前年同月比で8割以上の大幅減となった。
新商品の企画が立ち上がったのは4月。あっさりした豚骨スープに免疫力を高めるとされるニンニクを組み合わせ、妖怪「アマビエ」のパッケージを着想した。営業部の永江岳人さん(45)は、谷口さんと小学校からの幼なじみ。「このまま黙ってつぶれるわけにはいかない」と協力を頼むと、谷口さんは「俺に書かせて」と無償でデザインに取り組んだ。
もともと趣味でアマビエのフィギュアを自作していた谷口さん。丼を持ったアマビエは、五輪の「ミライトワ」「ソメイティ」、本紙「あなたの特命取材班」のキャラクター「あなとくちゃん」に通じる丸みのある目や眉が特徴だ。四隅には「疫病退散」の文字をあしらい、お札のようなデザインに。子どもが塗り絵をして楽しめるよう、あえて白黒の絵にした。
5月中旬の発売以降、九州外からも注文が相次いでいるといい、「おいしいラーメンとかわいい絵で、家で過ごす時間を少しでも楽しんで」と永江さん。谷口さんは「いつか福岡に遊びに来て、店でも本場の味を楽しんでほしい」と話している。(黒田加那)