「シュガーロード」日本遺産認定 地域活性化の起爆剤に
地域の文化財をストーリーとして発信する文化庁の「日本遺産」に今月、北九州市を含む3県8市の「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」が認定された。宿場町として栄えた歴史や豊かな菓子文化を掘り起こすきっかけとなり、地域の活性化につながっていくのか。地元からは「一層の仕掛けが必要」との声が聞かれる。
北九州市と長崎市を結んだ長崎街道は、砂糖によって、沿道に独自の菓子文化が花開いたとされる。
日本遺産に応募したのは北九州市や長崎市、佐賀市などでつくる「シュガーロード連絡協議会」。「400年以上もの時をかけて発展し続ける菓子の文化に触れることができる」と評され、19日に認定された。
門司区の洋菓子店「チムチム」のオーナーシェフで北九州市菓子組合会長の丸山道和さん(73)は「新型コロナで先が見えない中、うれしいニュース」と歓迎。ただ北九州市には長崎県のカステラや佐賀県の丸ぼうろのような代表的な菓子がなく、両県に比べ盛り上がりに欠けているとも指摘。「市や県全体で盛り上げられるよう、行政や業界全体の連携を強めていきたい」と語る。
長崎街道の面影を残す八幡西区の市指定史跡「曲里(まがり)の松並木」では、市民団体「チーム松並木」が昨年9月から清掃活動を続ける。松並木を活用したにぎわい創出を目指し、今秋には一帯をライトアップして夜市を催す予定。武智充代表(48)は「シュガーロードのことだけでなく、健康や信仰などのテーマを絡め、街道を多くの人に歩いてもらうような仕掛けが必要」と話す。 (白波宏野、山下航)