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合唱組曲「筑後川」は初演から50年余りたつ今も…

 合唱組曲「筑後川」は初演から50年余りたつ今も、変わらず歌い継がれている名曲である。作詞は福岡県久留米市の詩人・丸山豊。作曲は父親が福岡県出身の團伊玖磨。九州の自然への愛情があふれている

▼楽譜を発行する出版社によると、これまでの発行部数累計は17万4千部に達する。10万部を超える合唱曲はめったにない。ご当地だけではなく首都圏でのコンサートの演目にも登場するという

▼第1曲「みなかみ」で川の始まりを歌い、第5曲「河口」でフィナーレを迎える。上、中、下流の川の表情と流域に住む人々の暮らしを織り込んでいる。九州から遠い地で、この歌を聞いて筑後川の魅力を知った人もいるのではないか

▼その筑後川が「暴れ川」の顔を見せている。今月初旬からの豪雨で、上流の大分県日田市で氾濫、下流の筑後平野では支流があふれ、流域住民の安全と暮らしを脅かしている。泥水が住宅地を覆う映像は衝撃的だ

▼「筑後川」にはこんな歌詞がある。「川よ/愛の川よ/(中略)もっと冷静であるように」。川から冷静さを失わせた元凶は、地球温暖化による異常気象だろう。こんな表情をした郷土の川を見るのはつらい

▼「筑後平野の百万の生活の幸を/祈りながら川は下る」(第5曲「河口」より)。筑後川をはじめとする九州の川が早く落ち着き、人々に幸をもたらす「愛の川」の顔を取り戻すように。今は祈るほかない。

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