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祝賀パレード“皇室制度”考えるきっかけに

2019年12月20日 15:50
祝賀パレード“皇室制度”考えるきっかけに

世の中で議論を呼んでいる話題について意見を聞く「opinions」。今回は「平成から令和へ お代替わり一連の儀式を終えて」。皇室担当記者として一連の儀式を取材した、日本テレビ社会部・笛吹雅子解説委員に聞いた。

平成から令和へ。今年は、お代替わりの年だった。4月1日に新元号「令和」発表。5月1日、新天皇の即位に伴い「令和」が始まった。10月22日 には、即位を内外に披露する「即位の礼」、11月10日には、祝賀パレードにあたる「祝賀御列の儀」、14日~15日には大嘗祭、そして、伊勢神宮、明治神宮などの歴代天皇陵に参拝をし、およそ半年に及ぶ一連の儀式を終えられた。


――振り返る上でのキーワードを教えていただけますか。

「考えるきっかけに」と書きました。今年の一連の儀式や行事を通して、天皇制やそして日本の皇室について考えるきっかけにしてほしいなと思っています。


――こちらをテーマごとに伺っていきたいんですけれども、まず1つ目にテーマが「日本文化の奥深さ」ということで、こちらはどういったことでしょうか。

今回、200年ぶりの天皇退位による代替わりでした。天皇が亡くなった悲しみの中ではなく、明るいムードのもと、世界に唯一残っている「元号」というものや、平安絵巻のような代替わりの儀式、そして、皇室の歴史にも関心が高まった年でもありました。

「即位礼正殿の儀」の時には、私は正殿松の間を見渡す報道室にいましたが、漆を塗りなおし、美しく修繕された高御座・御帳台があり、装束姿の人が動く時には、しゅるりしゅるりと衣擦れの音が響いて、厳かで華やかな儀式でした。


――とても華やかで美しかったですが、この十二単、私も着たことがありましてとても重いですし、脱いだ時の肩のパンパンに腫れている感じ。とっても重かった印象が強いです。

そうですね。女性皇族方の装いは、十二単でしたが、私も重いとは聞いていたものの、実際に着用してみないと分からないと思い、特別に着せてもらうことにしました。絹なので、とても肌ざわりよく着心地は良いのですが、やはり重かったです。衣装にもよりますが、16キロ前後、上着である唐衣は肩にずしっと重みがきますし、しばらく着ていると腰に負担が掛かってきます。おすべらかしのカツラも3キロくらい、手に持っている檜扇も実は重くて、この姿で儀式にのぞむのは、なかなか体力が必要なことが分かりました。


――そうですよね。これだけ重いと動きづらそうですよね。

長袴はすそを踏みながら歩くので、初めての私には難しく、足を上にちょっと蹴りあげるようにするのがコツだと伺いましたが、初めての十二単だった秋篠宮家の眞子さまも佳子さまも、あれだけ美しく歩いて、立っている時には姿勢を正して身動きひとつされませんでした。79歳と高齢の常陸宮妃華子さまも、他の皇族方も美しい所作で十二単を着こなされていたのには、伝統を継いでいく強いお気持ちが感じられました。

実は、「大嘗祭」の皇后さまも特別な神事の時に着用する、白い十二単姿でした。袴がものすごく可愛い桃色、ピンク色なんです。このように、十二単は年齢によって使う色が違ったり、襟の合わせの色に個性が表れたり、色の美しさも興味深かったです。


――女性としては見ていても楽しい部分ですよね。続いてのテーマが「男性皇族の減少」ということですが、こちらはどういうことですか。

今回一連の儀式ではっとさせられたのは、男性皇族の少なさでした。前回平成の時には、上皇さまの高御座の前に当時の皇太子さま、陛下をはじめ男性皇族方が7人並び、陛下はオレンジ色の皇太子の装束、黄丹袍で他の皇族方は黒い束帯姿でした。それが今回は、陛下の高御座の前には秋篠宮家の4人の方が並ばれました。出席された男性皇族は、秋篠宮さまと常陸宮さまお二人で、常陸宮さまは車いすだったので燕尾服の洋装の姿でした。黒い束帯を着用された男性皇族は、一人もいなかったです。


――並びで見ると(男性皇族の少なさが)顕著に分かりますよね。そして3つ目のテーマですが、「皇室の国際交流」ということで、今回通訳を介さずにコミュニケーションをとられている姿が話題にもなりましたね。

そうですね。一連の儀式を通して、注目されたことといえば、両陛下の国際親善です。世界の王室と、日本の皇室は長く家族ぐるみのおつきあいが続いていて、お互いの国を行き来した時には、顔を合わせますし、また王室の結婚式やお葬式でも会われることになります。手紙やメールでのやりとりがあるとも聞いていますし、来日した王室の方々と挨拶を交わされる場面でも、その親密さはよく分かりました。

陛下はイギリス留学のご経験があり、皇后さまは国際経験が豊かで、ただ言葉が堪能というだけではない、高いコミュニケーションの力を感じます。陛下は、ライフワークとされている水の問題や環境や災害の問題でも、王室の方々や、世界の専門家とつながりがあるので、そんな交流の中から、今後世界の中で、果たせる役割があるのではないかと注目しています。


――そして最後のテーマが「両陛下の今後の活動」についてです。

今後についてですが、両陛下は今月末には、即位後初の被災地お見舞いで、宮城県と福島県を訪問されます。台風19号の被害が発生した直後から、被災地のことを思うメッセージが伝えられてきましたが、今後も、困難な状況にある人たちのことを思い、行動でその姿を見せられていくと思います。

今日は男性皇族の減少について触れましたが、今の制度では、女性皇族は結婚すれば皇族の身分を離れられます。悠仁さまの時代には、悠仁さまを支えられる皇族方はいるのか、「天皇」制度は続いていくのか、差し迫って考えなければならない問題として、一連の儀式から感じた方はいると思います。女性天皇や女性宮家をどう考えるか、皇室をどう継承していくのが良いと思うか、日本の中で「皇室」がどういう存在であれば良いと思うか、一人一人が考えるきっかけになればと思います。


――そうですね。今まで私も少し遠く離れた存在かなと思っていたんですが、パレードを通して実はすごく身近な存在だったということを感じられたので、これをきっかけに日本(国民)全員が考えられるといいですよね。

【the SOCIAL opinionsより】