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米・銃規制に動き 乱射事件の遺族が議員に

2019年9月13日 19:13

来年のアメリカ大統領選挙でトランプ大統領に対抗する民主党候補者の討論会が12日、行われた。そのテーマのひとつ、銃の規制をめぐって新たな動きが広がっている。

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12日夜、全米が注目した民主党のテレビ討論会。

ウォーレン上院議員「子どもたちが毎日、路上で銃で殺されている。銃産業が思うままであるかぎり事態は変えられない」

オルーク氏「殺傷能力の高い銃は人々の手から取り上げるべきだ」

銃の規制を訴える候補者たち。今、再び大きな争点になっている。

南部アーカンソー州。週末、射撃場には多くの人が訪れていた。中には12歳の少年の姿も。

少年「なんで好きかはわからないけど、楽しいから好きなんだよ」

父親は少年に身を守る武器として銃の正しい使い方を教えているという。射撃場の横には銃や弾丸などの販売店が併設されている。販売店の入り口には、共和党のトランプ大統領と州知事の写真が飾られている。

銃器店マネジャー「トランプ大統領が銃を持つ権利を制限するなら、私は投票しません」

トランプ大統領は影響力を持つ全米ライフル協会から支援されている。そのため、銃の規制には後ろ向き。

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こうした中、アメリカでは新たな銃規制の動きが広がり始めている。その立役者は、西部コロラド州のトム・サリバンさん(63)。民主党の州議会議員。

実はサリバンさんには悲しい過去があった。7年前、息子アレックスさんが銃乱射事件の犠牲者となった。

それは、上映中の映画館で12人が殺害された銃乱射事件だった。犯人の男はライフルなど4丁の銃で犯行に及び、家には6000発もの銃弾や爆発物を隠し持つ人物だった。

サリバンさん「アレックスがどの病院にもいないとわかったとき、私は、アレックスがその夜に殺されたと理解しなければならなかった」

サリバンさんはアレックスさんが着ていたジャケットを今も手放せずにいる。

サリバンさん「息子がどんな大人になるのか見ることができなかった」

もう犠牲者を出してはいけない。

当時、郵便局員だったサリバンさんは、事件後、遺族として銃規制を求める運動に奔走する。当時のオバマ大統領にも直訴、州議会に20回以上おもむき証言もしたが、銃規制は進まなかった。

そこでサリバンさんは、自ら議員に立候補。議員となって銃を規制する法案づくりに力を注いだ。成立したのが「レッドフラッグ法」。これは他人に危険を及ぼすと判断される人物から、警察などの当局が一時的に銃を没収することができる法律。

サリバンさん(今年2月)「私がこの法案を提出するのはアレックスや家族のためではなく、皆さんの家族のためなのだ」

サリバンさんのコロラド州で、この法律が成立したのは今年4月。そのレッドフラッグ法は、今や全米17の州と首都ワシントンDCで成立し、広がりを見せている。

ギフォーズ元議員「我々は戦って、戦って、戦い続けなければならない」

今年、銃乱射事件がすでに295件も起きているアメリカで、再び高まる銃規制を求める声。銃による事件を防げるようにはなるのだろうか。