ライフ

長男重んじる昔ながらの「本家相続」 陥りやすいトラブルは

長男が相続するというのは悪しき習慣か

 昔ながらの家族の“しきたり”が変わってきている──それを示す、興味深いデータが5月末に発表された。読売新聞社が実施した調査によると、「老後の親の世話は誰がすべきか」という質問に対し、「きょうだい全員が行う」が50%、「親自身が自分で責任を持つ」が19%で、「長子が行う」と答えた人はわずか4%だった。長男が親と同居し、おもに長男の妻が介護を担う。そのような旧来のしきたりは、いまでは多くの地域や家庭においてなくなりつつあるようだ。

 一方で、介護の負担と切っても切れない関係にある「相続」においては、いまだに古い価値観が根強く残っている。

 介護はきょうだい全員で担うようになってきているにもかかわらず、遺産を「長男に相続させたい」と願う親は少なくないという。それには昔から続く「本家相続」という考え方が影響している。本家相続とは、長男(もしくは事業継承者)が家を継ぐかわりに、介護や墓の管理などを負うというものだ。この考えは長男がすべての財産を継承する「家督相続制度」に起因するものだが、現在は廃止されている。それでも実質的に長男が実家を相続するケースは多い。

 相続のコーディネート会社「夢相続」の曽根恵子さんが話す。

「あくまで私の感覚ですが、持ち家があって男性のきょうだいがいるご家庭のうち、8割ぐらいは長男が実家を相続しています」

 この本家相続という考えが、“争続”の原因になることも。たとえば、親が誰にも相談しないまま「実家の権利は長男に」と遺言書に書いた場合などは、大トラブルに発展することが多い。

 相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんは過去にこのような相談を受けた。

 父はすでに他界し、施設に入所する80代の母がいる50~60代の4人きょうだい(長男、長女、次女、次男)。きょうだい関係は良好で、母の見舞いや、生活用品を買っていくなどの世話を協力して行っていた。しかし、母の財産管理をしていた長男が、ほかのきょうだいに相談なく司法書士を呼び、「全財産を長男に相続させる」という公正証書遺言を作らせてしまった。母の死後、その遺言書が届き、何も知らなかった長女、次女、次男は驚いた。弁護士を雇って結局3年間争ったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン