人には同じ24時間しかないのに、なぜ仕事の進み具合に差が出るのだろう。成果を挙げる人たちの話を聞いてみると、業界は違っても、段取りに対する共通の意識が見えてきた。

日曜の夜に一週間の指示を部下に出す

プリンシパル(日本企業の部長職相当)として2つのプロジェクトを率いる陳さんは、1児の母。育児で消える時間を計算したところ、1日6時間だったとか。忙しいコンサルタント業と子育てをどうやって両立しているのか。

陳さんの1日は、子どもが目を覚ます朝5時半に始まる。朝食は週末に1週間分つくってあるので、温めるだけ。子ども向けのテレビが始まったら、朝一でメールをチェックする。

「私の判断が必要なものについては、そこで返事を書きます。こうしておけば、早朝出勤する部下がいても私を待たずに仕事をスタートできます」

「迎えの日はママチャリに娘を乗せスーツで疾走。」ボストンコンサルティング グループ プリンシパル 陳 昭蓉氏

子どもを保育園に送りにいき、出社は8時半。作業的な仕事は家でもできるので、オフィスではフェース・トゥ・フェースの仕事を優先だ。朝は、2つのプロジェクトのメンバーと30分ずつ会議。さらにクライアントミーティングが午前と午後に1~2時間ずつ。それらに加え、社内のキャリアアドバイザーとして、担当社員との面談も行う。この面談はランチミーティングにして時間を節約している。

保育園に合わせて仕事を切り上げ、帰るのは6時過ぎだ。

「子どもは8時半に寝ます。寝かしつけていると私もつい一緒に寝てしまいますが、夜中に起きて緊急のメールをチェックしたり、アメリカのチームとテレビ会議をすることもあります」

これが1日の流れだが、子どもがいると、熱を出すなど予定を突然変更しなければならないケースもある。BCGは女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいるため融通がきくが、突発的なことが起きても問題ないように、陳さん自身も工夫していることがある。

「日曜夜にメンバーの1週間の動き方を考えて、あらかじめメールで指示を出しています。状況は毎日変わるのでその都度軌道修正しますが、1週間のイメージを共有できていれば、最悪、私が不在でも対応できます」