東京医科大の「裏口入学」をめぐる事件で、不正合格した学生が過去にも相当数いたと報じられている。この問題をきっかけに、「私立医大卒」の医師全体にも疑念が生じつつある。信頼できる医師を選び、腕の悪い医師を避けるには、なに基準にするべきか。フリーランス麻酔科医の筒井冨美氏が解説する――。(後編、全2回)

信頼できる医師びの選び方、腕の悪い医師の避け方

気になる症状があるとき、どんな病院・医師を選べばいいのか。「どの病院に行けばいいのかわからない」「近くの病院をネット検索したら口コミが悪評だらけで大丈夫だろうか」。そうした心配は、ネットにある情報を活用することでもかなり解消できる。失敗しない病院・医者選びのヒントをお教えしたい。

【1:「いい病院」をネットで見つけるポイント】

いまやウェブサイトをもっていない病院のほうが珍しいだろう。まずはネットで「整形外科 ○○市」「眼科 □□駅」など自宅や職場周辺の病院を検索して、見当をつけるところから始めよう。

診察メニューをチェック

候補となる病院を見つけたら、内容をチェックしてみよう。現代医学は細分化されており、どんな医者にも得手不得手はある。自分の得意な分野は、「喘息・アレルギー」「痛みの少ない胃カメラ」など、ウェブサイトでアピールしている。自分の症状と一致するかを調べるといい。たとえば生理痛で悩んでいる場合、「不妊治療」をアピールしている産婦人科を受診することは、あまり勧められない。

ネット口コミや「★」の数よりも、見るべきはコレ

グーグルで病院名を検索すると、レストランなどと同様に病院の「口コミ評価」も出てくる。★(星)の数が少ない病院をときおり見かけるが、数だけで判断しないほうがいい。筆者は、星の数よりも、「コメント」をチェックすべきだと考える。悪い評価をつけた理由をみると、「受付の女が高慢」「医者がヘラヘラして信頼できない」のような根拠の薄いクレームであることもある。同じ病院でも、「1時間待たされた」「ガラガラで不安」と両極端なコメントがつくこともある。

また、病院の悪い評価をみつけたときには、その投稿者の他の投稿をチェックするといい。レストランや美容院でも似たような辛口コメントを残している人であれば、クレーム体質の人だとわかる。病院に関して言えば、星の数だけで判断するべきではないと思う。

グーグル検索で積極的にチェックしたいのは「曜日別の混雑状況」だ。グーグルでは地図アプリの位置情報から、ある場所の「混雑する時間帯」「滞在時間」「推定待ち時間」などを表示している。一般的に病院外来は平日午後が空いていることが多いので、待ち時間を短くしたい向きは事前チェックするといい。

※グーグル検索の「訪問数の多い時間帯」の表示例。平日や週末の混雑状況も調べることができる
ED、AGAなどはスマホでオンライン診療が可能に

ED(勃起不全)、AGA(薄毛治療)、ピル処方などの自由診療分野では、オンライン診療が普及しつつある。仕事の合間にスマホ動画で医師と面談(あるいはオンライン・チャット)するだけで、職場では公言しにくい診療を受けることができる。代金はクレジットカードで決済し、医薬品は宅配便などで自宅に郵送される。

さらに2018年4月から、スマホなどを活用したオンラインによる保険診療が解禁された。現在のところ対象は、高血圧・糖尿病・花粉症など安定的な病気に限定されており、「6カ月以上の対面受診の後」などの条件があるが、今後さらなる対象拡大が予想されている。

オンライン診療を提供する病院はウェブページで告知しているので、EDやピルのみならず、長く付き合わなければならない持病のあるケースではチェックしておきたい。