「高年収ビンボー」と「低年収リッチ」はどこが違うのか。雑誌「プレジデント」(2016年11月14日号)では、それぞれにアンケート調査を実施。そのなかで「定年後の自分のイメージ」について聞き、結果を3人の専門家に分析してもらった。違いをわける点は何だったのか――。

年金と退職金で悠々自適だと思っている人はしくじる

「定年後、田舎に移住してのんびり暮らしたいと考える人は少なくありません。夫婦一致で実現できれば豊かな老後、できなければ貧しい老後になります」

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と言うのは、長野県在住のファイナンシャルプランナー長崎寛人氏だ。地方では低家賃で家が借りられたり、自治体が支援してくれたりする例もある。要介護になった場合のサードライフを考えても、都市部では介護施設は入所の基準が厳しいなど環境は必ずしもよくないが、地方では比較的余裕があるという。

特に勧めるのが中核都市で、「都会の利便性、田舎の住居費の安さ、その中間にあるのが中核都市。年金が夫婦で20万円もあれば中核都市では余裕を持って暮らせるイメージ」と話す。

しかし妻が同意しないケースも多く、「結局は熟年離婚に至り、財産分与をしてお互い貧しい老後になった例も」(長崎氏)。

この先、悠々自適の老後は迎えられるのか。元大手銀行支店長でコンサルタントの菅井敏之氏は、「年金と退職金で悠々自適だと思っている人はしくじる。豊かな老後を手にできるのは、定年後、毎月10万円、15万円など、収入を得る方法を具体的にイメージし、準備できる人」と指摘する。

たとえば企業コンサルタントとして月5万円で3社と顧問契約すれば15万円。1回5万円のセミナー講師もいい。

「そのためにはすでに独立している同期や同級生といった人脈を現役時代に築いておく。勤務先の看板を外したときに稼げるのが豊かな人で、社内政治にうつつを抜かしている人は貧しい老後になる」(菅井氏)

定年後も収入があれば、年金のもらい方にも選択肢ができる。

「66歳、67歳と受給開始時期を遅らせると受給額が増える。70歳まで繰り下げれば年金額は42%アップし、それが一生涯続くので、長生きするほど有利になり安心感が増す」(長崎氏)

もっとも、「豊かさはお金だけでは得られない」とファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏。