この秋、ナイキ製の厚底シューズを履いたマラソン選手が好記録を連発している。それに対し、欧米メディアでは「国際陸連(IAAF)が調査に乗り出す」との見方が強まっている。スポーツライターの酒井政人氏は「もし規制されても厚底への注目が集まるだけなので、ナイキは高笑いしているはずだ」という——。
写真提供=ナイキ
「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」

ナイキの「ピンク」のシューズが世界を席巻している

9月15日に行われたマラソングラウンドチャンピオンシップ(以下、MGC)でピンク色のシューズに目を奪われた方も多いだろう。男子は出場30人のうち16人が、「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」(以下、ヴェイパーフライ)の新色「ピンクブラスト」を着用していたからだ。

「ヴェイパーフライ」は世界のマラソンを席巻しているナイキ厚底シューズの最新モデル。そのピンクはMGC当日に一般発売されると、結果を求めるランナーたちがすぐに買い求めた。

10月26日の第96回箱根駅伝予選会では、「ヴェイパーフライ」を着用している選手が異様なほど多かったのだ。個人100位以内に入った選手のシューズをテレビ画面でチェックしたところ、新色のピンクが48人、最初(7月)に発売されたグリーンが23人。その合計は71人だ。それにプラスして前モデルを履いていた選手もいた。

加速し続ける厚底シューズだが、「待った」がかかるかもしれないというニュースが飛び込んできた。このシューズはいわば“ドーピング”にひっかかるのではないかとの指摘が出ているのだ。