コラム:フェイスブックとグーグル、2強支配を崩せるか

コラム:フェイスブックとグーグル、2強支配を崩せるか
2月4日、米グーグルとフェイスブックの第4・四半期決算で、両社に対する監視強化の重要性が改めて示された。チューリッヒのグーグル事務所で2018年12月撮影(2019年 ロイター/Arnd Wiegmann)
Jennifer Saba and Robert Cyran
[ワシントン/ニューヨーク 4日 BREAKINGVIEWS] - 米グーグルとフェイスブックの第4・四半期決算で、両社に対する監視強化の重要性が改めて示された。
フェイスブックが1月30日に市場予想を上回る売上高と利益を発表したのに続き、グーグルの持ち株会社アルファベットも好調な決算を公表した。フェイクニュースや消費者データの不当な商業化に対する懸念も、2社によるオンライン広告支配をそぐことはなかった。規制当局による監視が一層求められているゆえんだ。
アルファベット同四半期の売上高は、前年同期比で22%増加した。同社のオンライン広告部門は引き続き絶好調で、売上高は前年比20%増加。全体の売上高の8割超をたたき出した。
フェイスブックも、似たような決算となった。同社とザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に対しては、世間やメディアから驚くほどの怒りの声が上がったにもかかわらず、同社の同四半期売上高は30%増加し、169億ドル(約1兆8500億円)となった。また、月間アクティブ利用者数(MAU)も9%増えて23億人となった。
さらに、セラピーから加齢に伴う疾患の治療法、バーチャルリアリティ(VR)まで、ベンチャー企業への幅広い投資を加速させつつ、両社とも驚くべき量のキャッシュフローを生み出し続けている。
ほとんど機械的に増殖し成長していくように見えるこうした企業やその売上高と、ますます厳しくなる世間の見方を対比させてみると興味深い。グーグルとフェイスブックを巡っては、広告スポットを売るために利用者の個人情報を搾り取ろうとする仕組みについてのニュースが毎週のように流れてきている。
しかし、この2つの巨大企業権力を追い落とそうという市場の勢力は、ほとんど無力だ。あるいは、成功には長い道のりがある。
ハイテク5社の「FAANG」の一角であるネット通販最大手アマゾンですら、広告事業は急成長を続けているものの、両社の地位を脅かすには程遠い。カナコード・ジェニュイティによると、アマゾンとの競争で脅かされるリスクがあるのは、グーグルの検索部門の売上高の1%にすぎないという。
スタートアップ企業が2社に迫る可能性は、オンラインの広告売り上げに頼るメディア企業のバイス・メディア、バズフィード、ベライゾン・メディアの各社が最近実施した従業員削減を考えれば、さらに低いだろう。
グーグルとフェイスブックが検索やソーシャルメディアを支配していることや、両者がオンライン広告から上げている利益、収集したデータの規模、そして両社が作り上げたインフラを見れば、今後数年内に、いずれかの会社の勢いが規制以外で止められる事態は考えにくい。両社が保有している膨大な消費者情報を考えれば、両社が次のインターネット上の現象を支配する絶好の位置にいることも明らかだろう。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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