コラム:デジタル広告、アマゾンがグーグルのシェア奪う構図

コラム:デジタル広告、アマゾンがグーグルのシェア奪う構図
 7月25日、アルファベット子会社グーグルの広告売上高が鈍化した分が、そっくりアマゾン・ドット・コムに持っていかれようとしている。写真は2018年11月、マドリードで撮影(2019年 ロイター/Sergio Perez)
Gina Chon and Robert Cyran
[ニューヨーク 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アルファベット子会社グーグルの広告売上高が鈍化した分が、そっくりアマゾン・ドット・コムに持っていかれようとしている。25日発表されたアルファベットの第2・四半期決算によると、グーグルの広告収入の伸びはまた減速した。対照的にアマゾンの第2・四半期の広告収入は37%増え、グーグルから市場シェアを奪っている実態が見えてくる。アルファベットが打ち出した最大250億ドル規模の自社株買いは、投資縮小に伴って山積する同社の課題の厳しさを浮き彫りにしている。
グーグルは依然としてデジタル広告市場のトッププレーヤーだ。eマーケターによると、世界全体では約1040億ドルの広告収入を稼ぎ、シェアは30%を超える。
しかし第2・四半期のグーグルの広告収入は16%の増加と、前期よりさらに低調にとどまった。本来、グーグルならば20%台半ばの伸びが当たり前だったのだ。今回の結果はリフィニティブがまとめた予想を超えたとはいえ、グーグルは自社株買いで投資家をなだめる必要を感じた。
一方アマゾンが立ち上げてから日が浅い広告事業が、市場で攻勢を続けている。同社は広告収入だけを区分していないものの、売上高全体における「その他」項目のほとんどを占め、第2・四半期は30億ドルに達した。前年同期比37%という伸びは、クラウドコンピューティング部門と同じぐらい高く、実店舗部門やオンライン店舗の拡大ペースよりもずっと急速だ。
こうした急成長はすぐに衰えないだろう。多くの消費者は買い物検索と商品購入の際の「デフォルト」としてアマゾン利用しているが、広告収入の規模で言えば、まだグーグルの10分の1程度にすぎないからだ。サードパーティーサービスの25%という猛烈な増加は、より多くの小規模企業がアマゾンのページに商品を掲載していることを示す。つまりこうした企業には、ライバルとの差別化を図る上で広告を打つ必要がある。
eマーケターの見立てでは、グーグルの世界全体のデジタル広告市場におけるシェアは、今後数年でほぼ伸びがゼロになる見通し。同時にグーグルは、新たな収入源をもたらすことができる投資が今年前半でおよそ16%も減ってしまった。
アルファベットにはなお1200億ドルを超える手元資金がある。しかし同社への重圧も増している。今週には米司法省が、大手IT企業について同社が手掛ける検索事業を含め、独占禁止法問題で幅広い調査に乗り出すと発表した。デジタル広告を巡る競争の高まりが、別の展開をもたらしている。
●背景となるニュース
*アマゾンが25日発表した第2・四半期売上高は前年同期比20%増の634億ドルだった。純利益は微増の26億ドル。[nL2N24Q1AY]
*アルファベットが同日発表した第2・四半期売上高は19%増の390億ドル弱となった。広告収入の伸びは16%。同社取締役会は最大250億ドル規模の自社株買いも承認した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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