アングル:低下するアップル株の影響力、株式分割で「軽く」

Apple logo is seen on the Apple store at The Marche Saint Germain in Paris
7月30日、米アップルは、1対4の株式分割を8月31日の取引から実施すると発表した。パリのアップル店舗で15日撮影(2020年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
[30日 ロイター] - 米アップルは30日、1対4の株式分割を8月31日の取引から実施すると発表した。同社の株式分割は2014年以来。
近年は株式分割の事例が乏しくなっており、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、過去10年間が年平均10件だったのに対して、今年は3件しかない。
一方で、アップルの株式分割は、構成銘柄に組み込まれているダウ工業株30種<.DJI>の値動きに対する同社株の影響力を弱めることになる。アップルが15年にダウ工業株30種に採用されて以降、株価は230%も上昇し、米国株の象徴とみなされる同指数押し上げに貢献してきた。
現在のダウ工業株30種におけるアップルのウエートは約10%だが、株式分割後は当然その4分の1に低下し、銘柄別のウエートでは18番目に後退する。つまり今後アップル株が高下しても、ダウ工業株30種にはより反映されにくくなる。
アップル株はS&P総合500種<.SPX>にも入っているが、こちらは時価総額に基づいてウエートを算出する指数なので、株式分割は影響しない。
株式分割のメリットは、単純に1株当たりの価格が下がるため買いやすくなり、個人投資家などの取引活発化が見込まれることだ。アップルの場合、30日の四半期決算が堅調で時間外取引中に株価が急伸、400ドルを突破したが、分割後なら100ドル前後になる計算だ。
実際、同社も株式分割について「より幅広い投資家層へのアクセスを広げる」と期待を示した。
ただ証券会社は最近、顧客に単位未満株(端株)の取引を認める傾向が強まっており、以前よりも株式分割の恩恵は小さいとみられている。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は「株式分割は極めてまれになっている。投資家は端株を買えるようになったので、もはや株価が100ドルか500ドルか気にしないからだ」と説明した。
(Noel Randewich記者)

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