アングル:米大統領選、バイデン氏陣営がコロナ対応でトランプ氏攻撃

アングル:米大統領選、バイデン氏陣営がコロナ対応でトランプ氏攻撃
 4月28日、11月の米大統領選を巡り、民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領の陣営と同党系団体はトランプ大統領の新型コロナウイルス対応への全面的な攻撃を仕掛けている。対応の失敗を突くことで有権者の支持を得る狙いだ。写真はで3月撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)
[27日 ロイター] - 11月の米大統領選を巡り、民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領の陣営と同党系団体はトランプ大統領の新型コロナウイルス対応への全面的な攻撃を仕掛けている。対応の失敗を突くことで有権者の支持を得る狙いだ。
新型コロナの影響が広がり、トランプ大統領が日々の記者会見でスポットライトを浴びる中、ほんの数週間前は慎重な姿勢を見せていた民主党だが、ここへきて大統領のメディアパフォーマンスが大統領にとって悪影響のほうが大きくなっていると判断。積極的な攻撃を仕掛ければ大統領の危機対応のまずさを印象付けられるとみた。
バイデン氏陣営は「歴代の大統領が犯した最悪の政策ミスの1つ」としてトランプ大統領の対応を批判。激戦州での新たな選挙広告では大統領が新型コロナ対応で失敗し、パンデミック(世界的な大流行)中に中国を過度に信頼していたと指摘している。
広告に資金を出している民主党団体「アメリカン・ブリッジ21世紀」のブラッドリー・ベイチョク氏は「全階層を団結させる問題となっている。トランプ大統領の強大な力は動揺している」と述べた。
先週公表されたロイター/イプソスの世論調査によると、支持率はバイデン氏が47%、トランプ氏が39%となっている。バイデン氏は新型コロナの影響でデラウェア州の自宅にとどまり、ほとんど注目されることがないにもかかわらず、トランプ氏に対するリードを広げている。
ロイター/イプソスの世論調査では、米国民の52%はバイデン氏が新型コロナ対応を指揮するのによりふさわしいと回答。トランプ氏のほうがふさわしいとした割合は48%だった。一方、米国経済を運営すのがよりふさわしいリーダーとしての支持率はトランプ氏が53%で、バイデン氏が47%だった。
新型コロナ危機の当初はトランプ大統領の支持率が一時的に上向いたこともあった。バイデン氏寄りの政治資金管理団体「プライオリティーズUSA」のガイ・セシル会長は「当初は大統領の対応の結果がはっきりとわからなかったため、記者会見が大統領の支持率にプラスとなったのかもしれない。1カ月が経過し、今では(国内の死者数が)5万人を突破した」と述べ、トランプ氏の危機管理に失敗があったと考える人が増えているのではないかとの見方を示した。
<4つの「C」>
バイデン氏陣営は先週、トランプ氏に対する攻撃では4つの「C」に言及するよう求めるメモを支持者に送付。これはトランプ氏の中国政府との「coziness(なれ合い)」、危機の「cover-up(隠ぺい)」、対応の「chaos(混乱)」、経済対策資金の分配方法における「corporatefavoritism(企業へのえこひいき)」だ。
リベラル系非営利団体アクロニムによると、バイデン氏陣営はまた、フェイスブックやグーグル向け広告を強化し、今月12─18日の支出額はトランプ氏陣営を上回った。
バイデン氏陣営が24日に公表した広告動画では、最近の記者会見でトランプ大統領が「誰も私の世話をしたいと思わない」と述べている映像とともに、米国の死者が増加し、失業保険申請件数が2600万件を突破している統計が映し出され、「大統領閣下、あなたのことではない。これはアメリカのことなのだ」とのメッセージが付けられている。
同陣営の広報担当者、TJダックロー氏は新たなアプローチについて「大統領によるリーダーシップの史上最悪の失敗の1つをわれわれは目撃しており、これはこの秋に有権者が心にとめる唯一の事柄となるだろう」と述べた。
一方、トランプ氏陣営の広報担当者、ケン・ファルナソ氏は電子メールで「大統領は新型コロナウイルスとの戦いで国を果敢に率いている一方、バイデン氏は脇から非難している。バイデン氏は政権の一致団結した対応を損ない、当てにならないメッセージで恐怖を植え込ませようとしている」と指摘した。
(Trevor Hunnicutt記者)

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