コラム:コロナで逆転、ディズニーとネットフリックスの投資家評価

コラム:コロナで逆転、ディズニーとネットフリックスの投資家評価
 7月6日、テーマパークと映画の興行収入という強みを持つディズニーは、動画配信サービスのネットフリックスより安全な投資対象だと考えられていた。写真は3月9日、フランス・パリのディズニーランドで撮影(2020年 ロイター/Benoit Tessier)
Jennifer Saba
[ニューヨーク 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ウォルト・ディズニーと米ネットフリックスに対する投資家の評価が今年、一気にひっくり返った。
テーマパークと映画の興行収入という強みを持つディズニーは、動画配信サービスのネットフリックスより安全な投資対象だと考えられていた。登録者を急激に伸ばそうとテレビ番組や映画に大枚をはたくネットフリックスは、相対的にリスクが高かった。しかし、社会的距離とロックダウンが様相を一変させた。
ディズニーが7日発表した第1・四半期決算は、増収にもかかわらず利益が前年同期比91%も減って4億7500万ドルになった。さらに悪いのは、これが序の口に過ぎないことだ。同社がテーマパークを閉鎖し、数千人の従業員を一時解雇し、幹部報酬をカットし、大型映画作品の封切りを延期し、バランスシートのてこ入れに奔走したのは、3月半ばになってからだ。
実際、同社はほぼ全ての事業が、新型コロナウイルス危機の影響を受けている。テレビチャンネルも例外ではなく、スポーツ専用のESPNは、広告収入の減少や試合中止によって辛酸をなめた。
幸いにも、ディズニーがネットフリックスのような動画配信サービスに昨年着手していたことは光明だ。後発組のAT&Tやコムキャストと異なり、ディズニーのサービスは少なくとも順調に動き始めており、自宅に閉じ込められた大人や子供の視聴によって恩恵を受けている。同社によると、6月時点の登録者数は5000万人で、5カ年目標の9000万人を十分達成できそうな勢いだ。
他方、ネットフリックスには足を引っ張る部門もなく、順風満帆だ。6月の新規登録者数は予想の2倍に及び、世界の登録者数は1億8000万人に達した。新型コロナが原因で番組制作が制約されているため、高い現金投入率も今は減速している。
人気の「タイガーキング」シリーズなど、コンテンツ使用のための支払いが190億ドルに上ることを考えれば、あと数カ月分のテレビ番組や映画のストックはありそうだ。
ネットフリックス株は年初から30%強上昇したのに対し、ディズニー株はほぼ同じ率で下がっている。両社の株式時価総額は1900億ドル弱で肩を並べた。市場の指標を見ると、S&P総合500種株価指数<.SPX>と対比したネットフリックス株のボラティリティ(変動率)は最近、ディズニーよりも低い。かつてディズニーの強みだったものが、今では弱点に変わってしまった。
●背景となるニュース
*ウォルト・ディズニーが発表した1─3月期決算は、売上高が前年同期比21%増の180億ドルとなった。前年同期に21世紀フォックスの買収を完了したことが一因。純利益は91%減の4億7500万ドル。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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