焦点:中国成長率予想、慎重派の民間と楽観的な政府系に温度差

焦点:中国成長率予想、慎重派の民間と楽観的な政府系に温度差
 9月19日、中国の経済成長率予想について「官民格差」が生じている。市場関係者などは、成長率が第3・四半期ないしは来年にかけて政府目標の下限である6%を割り込む恐れがあると警告する。写真は北京のビジネス街で進むビル建設。2018年11月21日撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)
Kevin Yao Stella Qiu
[北京 19日 ロイター] - 中国の経済成長率予想について「官民格差」が生じている。市場関係者などは、成長率が第3・四半期ないしは来年にかけて政府目標の下限である6%を割り込む恐れがあると警告する。一方で政府系のエコノミストはやや楽観的で、各種景気対策が効果を発揮して急激な成長鈍化は避けられるとみている。
第2・四半期に6.2%と約30年ぶりの低成長を記録した中国経済が、第3・四半期になって一段と冷え込む公算が大きい、という点で専門家の見方はそろっている。ただそうした減速の流れが、景気対策が打ち出されても続くかどうかが意見の分かれるところだ。
UBSは中国の成長率が今年6.0%で、来年には5.5%まで下振れると予想する。中国エコノミストのタオ・ワン氏は、米国の関税引き上げの影響で、今年第4・四半期と来年第1・四半期に成長の勢いが一層弱まるだろうと述べた。
これに対して政府系エコノミストは、景気対策が経済を支えると期待する。
国家発展改革委員会傘下のシンクタンク、国家情報センターで経済予測部門を統括するZhang Yuxian氏は「成長率は第3・四半期に6.1%となった後、第4・四半期には6.2%まで幾分持ち直すと見込んでいる」と語った。
同氏は18日、外国記者団に「財政、金融、構造的な諸政策が第4・四半期の経済に間違いなく反映される。そうでなければこうした政策は何の役にも立たない」と説明し、それによって今年の成長率は6.2─6.3%と、政府目標並みを確保できると自信を見せた。
やはり政府系シンクタンクの中国国際経済交流センター(CCIEE)のチーフエコノミスト、Chen Wenling氏は、今年と来年の成長率をそれぞれ6.2%前後、6%前後と予想している。
中国では昨年以降、相次いで景気対策が打ち出されてきたにもかかわらず、経済はなお安定していない。だからこそ大半の民間エコノミストは、内外の需要の弱さを踏まえて慎重な成長見通しを維持している。
米中貿易摩擦の長期化が中国の企業や消費者に打撃を与えている点からすれば、もっと刺激策が必要だとの指摘が出ている半面、政策担当者が債務増大や不動産バブルのリスクを心配している以上、追加的な政策発動の余地は限られる。
こうした中で市場は、昨年初め以降7回にわたって準備率を引き下げてきた人民銀行(中央銀行)が、20日にローンプライムレート(LPR=最優遇貸出金利)を下げるかどうかに注目している。

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