アングル:新型肺炎が世界経済を下押し、3%割れとの見方も

アングル:新型肺炎が世界経済を下押し、3%割れとの見方も
1月4日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が急速に拡大し、中国以外に感染が広がるのを防ぐためのヒトやモノの移動制限措置がとられている。写真は人気のない上海の市街地(2020年 ロイター/Aly Song)
[ロンドン 4日 ロイター] - 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が急速に拡大し、中国以外に感染が広がるのを防ぐためのヒトやモノの移動制限措置がとられている。こうした措置は、今年第1・四半期の中国と世界の双方の経済活動に、短期的だが急激な打撃をもたらすと予想されている。
感染がどこまで広がり、いつピークを迎えるかは依然として不明だが、エコノミストの間では中国や世界の国内総生産(GDP)への影響を試算する動きがでている。
バークレイズの経済調査責任者、クリスティアン・ケラー氏は「より楽観的なシナリオを維持するには、今週中に感染拡大ペースがかなり落ちることを確認する必要がある」と述べた。
同氏によると今年の世界GDP見通しは現時点では3.3%としているが、中国GDPへの影響の深刻度によっては、世界GDP見通しがほぼ修正なしで済むかもしれないし、最悪シナリオの場合は3%を下回る水準を想定しているという。世界的に悪影響がフィードバックされていくリスクや、それに対する政策対応の余地が限られることから、世界経済が景気後退に押しやられる可能性もあると指摘。世界の成長率が重要な節目である2.5%を下回る可能性を警告した。
多くのアナリストのモデルは、2002年から03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)といった過去の感染症流行に基づいている。だが、中国の世界経済への寄与度は当時の4倍になっていることなどから、あまり精度が高いとは言えない。
JPモルガンのエコノミスト、ジョセフ・ラプトン氏は顧客向けに「過去の感染流行パターンが今回もおおむね繰り返されるのなら、第2・四半期中にピークを迎えて下火になっていく」と予想。世界の成長率は第1・四半期が約0.3%ポイント押し下げられて年率換算で2.3%となり、第2・四半期に持ち直すとみる。
モルガン・スタンレーのロビン・シン氏は先週、今のような状況が3─4カ月間続けば、第2・四半期の世界の成長率が約0.2─0.4%ポイント押し下げられる可能性があるとの見方を示した。
以下は新型肺炎が2020年の世界GDPに及ぼす影響の予想

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