焦点:100日計画が期限迎えた米中、課題山積のなか包括対話へ

焦点:100日計画が期限迎えた米中、課題山積のなか包括対話へ
 7月16日、米中両国が4月の首脳会談で合意した貿易不均衡是正のための「100日計画」はこの日が期限だった。写真はトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席。ハンブルグで8日撮影(2017年 ロイター)
[上海/北京 16日 ロイター] - 米中両国が4月の首脳会談で合意した貿易不均衡是正のための「100日計画」は16日が期限だった。
米国にとってはこれまでの協議で牛肉の中国市場への輸出再開や、中国向け液化天然ガス(LNG)販売契約獲得、中国金融サービスへの一部アクセス解禁といった一定の成果を獲得できた。しかし米企業の間では、まだ成し遂げるべき課題は山積しているとの声が聞かれる。
こうした中で両国は19日にワシントンで第1回包括経済対話を開催し、米国の対中貿易赤字減らしに向けたさらなる具体的を打ち出すとみられる。米商務省報道官は15日、「100日計画に基づいた一層の状況進展を報告できることを期待している」と語った。ただ、この報道官は、どの分野で新たな合意ができるかの言及は避けた。
米国の財ベースの対中赤字額は昨年が3470億ドル。商務省のデータによると、今年1─5月は前年同期に比べて赤字が約5.3%も拡大した。
米中ビジネス協議会(USCBC)の中国事業担当バイスプレジデント、ジェイコブ・パーカー氏は、これまでの協議は事態を前向きに動かす力になったとしながらも「米中の商業的交渉を成功とみなすには、さらにずっと多くのことを実行する必要がある」と強調した。
特に両国が最も苛立ちを募らせている問題ではほとんど進展が見られない。それは(1)中国に対する鉄鋼やアルミの過剰生産能力削減要求(2)中国のサービス市場の米企業への開放(3)米国の先端技術の対中輸出制限──などだ。
このうち鉄鋼・アルミに関しては、中国の過剰生産が国際的な供給増大と価格引き下げをもたらしているとみなすトランプ政権が、米国の輸入製品について広範囲の関税や数量割り当てを導入することを検討している。
また北朝鮮の核・ミサイル開発に中国がどれだけ圧力をかけられるかを、トランプ政権が通商問題と絡めて取り扱っていることも、米中両国の関係に影を落としている。
<進まない市場開放>
中国国内では今、米国の狂牛病問題が起きた2003年以降で初めて米国産牛肉の購入が可能となった。中国外務省の報道官は14日、牛肉市場開放については今後もっと具体的な結果が見えてくると述べた。
ただし中国は既に昨年9月、米国産牛肉の輸入解禁に合意しており、当局とすればあとは数量面で必要な水準を詰めれば良いだけになっているとの批判もある。
そして米国が市場開放を促している他のセクターでは、中国側の対応は鈍い。例えば中国当局は米国の8種類の遺伝子組み換え種子について専門家を集めて審査したものの、結局承認したのは2種類だけだった。
複数の米政府高官の話では、金融サービス分野でも市場開放はほとんど進んでいない。USCBCのパーカー氏は、外資系格付け機関に事業免許がいつ交付されるか、あるいは米系の電子決済サービス提供企業がそもそも免許を得られるかは分からない、と打ち明けた。
パーカー氏によると、生命保険や証券トレーディングにおける外国投資制限、ないしは多くの外国企業が中国で直面しているサイバーセキュリティー規制順守に関わる多くの課題といった問題も、これまでの米中協議では解決されていないという。
在上海の米商工会議所は13日公表した年次報告書で、中国は依然として「困難な市場」との見解を示した。
(Andrew Galbraith、Dominique Patton記者)

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