コラム:中国のゲイ向けデートアプリ企業、NY上場は成功するか

コラム:中国のゲイ向けデートアプリ企業、NY上場は成功するか
6月23日、ゲイコミュニティーを対象にした中国のデートアプリ運営企業、ブルーシティ・ホールディングスが、ニューヨークで新規株式公開(IPO)を申請した。写真は14日、上海で行われたプライドフェスティバルに参加した人々(2020年 ロイター/Aly Song)
Robyn Mak
[香港 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ゲイコミュニティーを対象にした中国のデートアプリ運営企業、ブルーシティ・ホールディングスが、ニューヨークで新規株式公開(IPO)を申請した。同社のアプリ「Blued(ブルード)」は、静かに盛り上がるLGBTQ(性的少数者)のコミュニティーで利用されている。持続的な成功を収められるかどうかは、これからの政治、社会環境の流れ次第だ。
中国で同性カップルが合法化されたのは1997年で、その5年後には精神疾患リストから除外された。Daxueコンサルティングによると、中国のLGBTQ人口は推定約7000万人。しかし、同国は同性結婚を認めておらず、法的保護は無いに等しい。歌手フレディー・マーキュリーさんの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」は、中国上場時にはゲイに関する部分が検閲により削除された。
そうした状況を踏まえると、ブルードが誕生9年目にして4900万人もの登録ユーザーを集めるまでに成長したのは見事だ。このアプリの前身は、当時ゲイであることを公表していなかった警官で創業者のマー・バオリ氏が作ったオンラインフォーラムだ。
競合するデートアプリが閉鎖される中でも、彼は医療問題やその啓発活動について当局に協力してきた。欧米で人気の同性デートアプリ「Grindr(グラインダー)」の先を行き、ソーシャルネットワークの一環として無料のエイズウイルス(HIV)検査まで提供している。ブルードは国際的にも注目を集めており、月間アクティブユーザー600万人の約半数は、インドや韓国やさらに他の国の居住者だ。
ただ、同アプリの人気は黒字にはつながっていない。ブルーシティ社の昨年の売上高は前年比51%増の1億0700万ドルだったが、損益は9700万ドルの赤字となった。
利益は主に、タレントのショーなどの番組生配信から得ている。ユーザーは動画の主役に架空ギフトを贈れる仕組みだ。ブルードで収益率が高いのは会費、広告、さらには家族計画のサービスだが、中国ではまだ人気を得ていない。
ブルーシティの事業は価値評価が難しい。地元メディアの報道によると、2014年の資金調達における企業価値評価は3億ドルだった。デートアプリ・Tinder(ティンダー)の親会社マッチの株価は、今年の予想売上高の12倍以上で取引されている。ブルーシティの売上高が今年、昨年と同じペースで伸びると仮定してこの倍率を当てはめると、企業価値は20億ドル相当となる。この数字は楽観的だ。一方で、比較可能な中国の動画アプリ企業の株価は、売上高の1倍程度にとどまっている。
ブルーシティの大化けを期待できる要因としては、中国の若者が同性カップルに寛容になっている点が挙げられる。例えば昨年、中国の民法典の改正で最も支持を集めた要望の1つが同性結婚の合法化だった。ブルーシティが投資家を引き付ける上で、こうした潮流が決め手になるかもしれない。
●背景となるニュース
*中国で最も人気のあるゲイ向けデートアプリを運営するブルーシティ・ホールディングスが、ニューヨークで5000万ドル規模のIPOを計画している。16日に届け出られた目論見書で明らかになった。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

Opinions expressed are those of the author. They do not reflect the views of Reuters News, which, under the Trust Principles, is committed to integrity, independence, and freedom from bias.