コラム:中国のゲイ向けデートアプリ企業、NY上場は成功するか
Robyn Mak
[香港 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ゲイコミュニティーを対象にした中国のデートアプリ運営企業、ブルーシティ・ホールディングスが、ニューヨークで新規株式公開(IPO)を申請した。同社のアプリ「Blued(ブルード)」は、静かに盛り上がるLGBTQ(性的少数者)のコミュニティーで利用されている。持続的な成功を収められるかどうかは、これからの政治、社会環境の流れ次第だ。
中国で同性カップルが合法化されたのは1997年で、その5年後には精神疾患リストから除外された。Daxueコンサルティングによると、中国のLGBTQ人口は推定約7000万人。しかし、同国は同性結婚を認めておらず、法的保護は無いに等しい。歌手フレディー・マーキュリーさんの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」は、中国上場時にはゲイに関する部分が検閲により削除された。
そうした状況を踏まえると、ブルードが誕生9年目にして4900万人もの登録ユーザーを集めるまでに成長したのは見事だ。このアプリの前身は、当時ゲイであることを公表していなかった警官で創業者のマー・バオリ氏が作ったオンラインフォーラムだ。
競合するデートアプリが閉鎖される中でも、彼は医療問題やその啓発活動について当局に協力してきた。欧米で人気の同性デートアプリ「Grindr(グラインダー)」の先を行き、ソーシャルネットワークの一環として無料のエイズウイルス(HIV)検査まで提供している。ブルードは国際的にも注目を集めており、月間アクティブユーザー600万人の約半数は、インドや韓国やさらに他の国の居住者だ。
ただ、同アプリの人気は黒字にはつながっていない。ブルーシティ社の昨年の売上高は前年比51%増の1億0700万ドルだったが、損益は9700万ドルの赤字となった。
利益は主に、タレントのショーなどの番組生配信から得ている。ユーザーは動画の主役に架空ギフトを贈れる仕組みだ。ブルードで収益率が高いのは会費、広告、さらには家族計画のサービスだが、中国ではまだ人気を得ていない。
ブルーシティの事業は価値評価が難しい。地元メディアの報道によると、2014年の資金調達における企業価値評価は3億ドルだった。デートアプリ・Tinder(ティンダー)の親会社マッチの株価は、今年の予想売上高の12倍以上で取引されている。ブルーシティの売上高が今年、昨年と同じペースで伸びると仮定してこの倍率を当てはめると、企業価値は20億ドル相当となる。この数字は楽観的だ。一方で、比較可能な中国の動画アプリ企業の株価は、売上高の1倍程度にとどまっている。
ブルーシティの大化けを期待できる要因としては、中国の若者が同性カップルに寛容になっている点が挙げられる。例えば昨年、中国の民法典の改正で最も支持を集めた要望の1つが同性結婚の合法化だった。ブルーシティが投資家を引き付ける上で、こうした潮流が決め手になるかもしれない。
●背景となるニュース
*中国で最も人気のあるゲイ向けデートアプリを運営するブルーシティ・ホールディングスが、ニューヨークで5000万ドル規模のIPOを計画している。16日に届け出られた目論見書で明らかになった。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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