アングル:為替安定で米企業のヘッジ減少、決算に悪影響も

アングル:為替安定で米企業のヘッジ減少、決算に悪影響も
10月21日、外為市場で相場変動が小さい状態が続いているため、米企業は警戒を解いて為替リスクヘッジを見送るようになっており、第3・四半期決算にはドル高の悪影響が大きく現れそうだ。写真は米ドル紙幣。2018年2月撮影(2019年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 外為市場で相場変動が小さい状態が続いているため、米企業は警戒を解いて為替リスクヘッジを見送るようになっており、第3・四半期決算にはドル高の悪影響が大きく現れそうだ。
為替の変動率を示すドイツ銀行FXボラティリティ指数<.DBCVIX>は7月初めに5年ぶりの低水準に下がった後、貿易関連の緊張の高まりを受けて8月半ばには8.11まで上がったが、その後再び下がって18日には6.8と、5年平均より2ポイント低い水準となっている。
金融管理会社キリバのウォルフガング・コースター氏は、外為市場でボラティリティが下がると企業は為替リスク管理について慢心する傾向があると言う。
ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)のカール・スチャモッタ氏は「長い歴史に照らすと、為替相場を巡る懸念の程度は依然として低い。企業は相変わらずリスクを過小評価している」と語った。
企業のヘッジについての集計データはないが、アナリストによると状況証拠的には非常にヘッジ意欲が薄まっている模様だ。
貿易関連のニュースや、それに関連した人民元や円の動きを受けてアジア通貨のヘッジはある程度盛り上がったが、最も取引量の多い主要通貨について急いでヘッジする様子は見られないという。
トレーダーも同意する。シリコン・バレー・バンクのミン・トラン氏は「顧客(企業)との間で為替変動についての会話は確かに多くなったが、今のところヘッジは顕著に増えていない」と述べた。
第3・四半期末時点のドル相場は、1年前に比べてユーロに対して6%上昇していた。ドルが上昇すると通常、米国の多国籍企業の外貨収入はドル換算で目減りするため、利益が損なわれる。
リフィニティブのIBESデータによると、S&P総合500種株価指数<.SPX>の構成企業は第3・四半期に前年同期比3.1%の減益となる見通しだ。
キリバが17日公表したリポートによると、為替変動による業績への影響を数値化している北米企業のデータを集計したところ、第2・四半期決算への悪影響は合計210億1000万ドルに上った。為替変動によるマイナスの影響が200億ドルを超えたのは3四半期連続で、過去10年以上で最長だ。
(Saqib Iqbal Ahmed記者 Joshua Franklin記者)

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