アングル:米ダウ平均の構成銘柄変更か、大企業の分割機に

アングル:米ダウ平均の構成銘柄変更か、大企業の分割機に
 3月22日、米株価指数、ダウ工業株30種平均の構成銘柄が、近く小幅に変更される可能性がある。NY証券取引所で20日撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 22日 ロイター] - 米株価指数、ダウ工業株30種平均<.DJI>の構成銘柄が、近く小幅に変更される可能性がある。指数構成企業である化学大手ダウ・デュポンと航空機エンジン・機械大手のユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)が分社化を計画しているためだ。
ダウ・デュポンは3社分割計画の第1弾として、4月1日に素材化学事業を分離する。ユナイテッドも3分割を計画しており、1年以内に実施する可能性がある。
市場関係者によると、両社の一部部門が指数構成銘柄にとどまる可能性はあるが、指数運営会社はこれを機に新たな銘柄の組み入れを検討するかもしれない。
指数を運営するS&P・ダウジョーンズ・インダイシズの広報担当者、レイ・マコンビル氏によると、4月1日までに発表を行う予定。
指数構成企業に動きがあった場合は常に「指数を見直し、必要な変更があれば行い、実施前に公表する」という。
ダウ工業株30種平均は過去20年間、およそ2年に1度、構成銘柄に変更を加えてきた。直近では昨年6月にゼネラル・エレクトリック(GE)を除外し、ドラッグストアチェーン最大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスを採用した。
同指数を構成するのは30銘柄。専用のダウ指数がある運輸と公益を除き、各セクターを適切に反映する設計となっている。
公表されている銘柄採用方法によると、重要なのは数量的なルールではなく、「優れた評判を有し、持続的な成長を示し、数多くの投資家の関心がある」企業しか採用しない。
基準がこのように主観的なため、どの企業が資格を満たすのかについて、折にふれて憶測が入り乱れてきた。
当然採用されそうな企業にも、障害があり得る。例えばアマゾン・ドット・コムやグーグルの親会社アルファベットは、いずれも株価が1000ドルを優に超え、指数全体を左右してしまうため、資格を満たせない。
S&P総合500種<.SPX>など多くの株価指数は、構成銘柄を株価ではなく時価総額に応じて加重平均しているが、ダウ平均は株価が高ければ高いほど比重が大きくなる設計だ。
ダウ・デュポンから分離する素材化学企業「ダウ」は、ダウ平均において唯一の素材セクターであるため、指数にとどまる可能性がある。
ダウ・デュポンは「ダウ」のほか、特殊化学のデュポン、農業のコルテバの3社に分割される。ノムラ・インスティネットのアナリスト、アレクセイ・イェフレモフ氏によると、このうち時価総額はダウが約500億ドル、デュポンが約600億ドルと大きく、素材関連企業を組み入れる必要があるなら、この2つのどちらかになりそうだ。
D・A・ダビッドソンの資産運用調査ディレクター、ジェームズ・ラガン氏は「ダウ・デュポンを除外すると素材関連企業がなくなる」とし、ダウが指数にとどまると予想した。
ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)は宇宙航空部門、エレベーター部門、エアコン部門に3分割する計画。最も大きいのは宇宙航空部門だが、ダウ平均には既に同業のボーイングが含まれているため、UTCの新会社はお払い箱になるかもしれない。
多くの投資家にとっては、ダウ平均はS&P500種に比べ市場の尺度としての重要性に劣る。リッパーの調査によると、ダウ平均に連動するミューチュアルファンドと上場投資信託(ETF)は230億ドル強なのに対し、S&Pは4兆3000億ドルに達する。
しかし120年の歴史を誇るダウ平均には、依然として指標としての魅力がある。
プロシェアーズのグローバル投資ストラテジスト、シモーン・ハイマン氏は「株価に応じて加重平均する設計と、30銘柄しか含まれないという事実ゆえに、ダウ平均は異彩を放っており、市場全体を代表するものと見なされやすい」と語った。
(Lewis Krauskopf記者)

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